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第八章・6
法皇様をはじめ、神騎士たちが揃う中、私はジーグとテレパシー交信をするなどという迂闊な真似を!
そして、法皇様はそれにお気づきになられた。
何もおっしゃらなかったが、後程どんな達しがあるか解からない。
そう、ギルは危惧した。いや、恐怖した。
最悪、ジーグの存在を消されてしまうかもしれない。
そんな恐怖に駆られた。
そして、待つ恐怖より、踏み出す恐怖を選んだのだ。
ルキアノスとジーグを対面させる。
ルキアノスを味方につければ、ジーグを救えるかもしれない。
捻転したギルの思考は、そんな考えに帰着した。
だからこそ、飛行船をチャーターしたのだ。
地上の管制塔からオートで操縦される、あの空飛ぶ密室。
他人には絶対に知られてはならない秘密を、そこでなら告白できる。
「それほど勧めるのなら、一度くらいは乗ってみようかな」
ようやくジーグが、明るい声でそう言った。
「でも、何か企んでるんじゃないのか? いやにしつこいな」
胸の内を見透かされたようで、ギルはギョッとしたが、そこはジーグに調子を合せて軽く流した。
「そこまで期待してるなら、サプライズを用意しておこう」
「期待していいのか?」
「もちろん」
サプライズどころか、ジーグにとってはハプニング。
悪夢のような出来事が用意された3日後が、待っていた。
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