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第九章・8
技師に手を取られて歩んで来た少女は、古代人が来ていたような白いキトンを纏い清楚な佇まいだ。
しかし美しい装飾具で飾られているところを見ると、豪族に名を連ねる貴人かと思われる。
「どうです? 美少女でしょ~! でもやっぱり処女神ですから、セクシー・ダイナマイツ!というわけにはいかないんでしょうねぇ」
この男、成長したファタルの御姿を戯れにこしらえたというのか!?
顔色を変えたギルに、ルキアノスも同様に感じ取ったらしく、一歩前へ出た。
「この所業も、法皇様の御命令で?」
静かだが、威圧感充分の脅しだ。遊びだったらただではおかない、との思いが滲み出ている。
「ご安心を。御命令ではありませんが、法皇様の許可は取ってあります。大丈夫です、って。有機メタルで作った、お人形さんです。自我は持たないし、もちろん感情も無い。疑似生態活動は、いつでもオフにできますから」
セレモニーに使えないかな、と思って作ってみました、とのキュクロプスには何ら悪びれたところがない。
しかし、代替品として自分らのクローンが作られている事を知っているギルとルキアノスには、少々胸の悪くなるような話だ。
後はもう早々に、スポーツバッグにおくるみを詰めてモニタールームを後にした。
シャワーを使う事など、すっかり忘れてしまっていた。
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