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第十章・2

 先に服をはだけ、抱きついてきたのはギルの方だった。  ただただ雑で短い口づけを何度も何度も繰り返し、ジーグのシャツを脱がせにかかる。 「急くなよ」  キスの合間にジーグはそう言い、兄とは全く逆の動きをとった。  体を静かに撫でさすり、その動きで彼の被服を剥いでゆく。焦るギルより早く、身に纏うものを全て剥ぎとり、首筋に、肩に、胸にキスを落とし始めた。  はぁはぁと息の速いギルは、そんなジーグに焦れたように身を捩る。 「もっと」 「もっと?」 「もっと、強く……、やって、くれ」  ショックな出来事を、激しいセックスで揉み消したいというわけか。  ジーグは、そう判断した。 「イヤだ。今夜は優しくしたい」  そして、桃色の乳輪を舌先で軽く刷いた。びくん、と引き攣るギルの背筋を感じる。 「粗い交わりで何かを忘れよう、なんてありきたりだ。こんな時こそゆったり構えろ」  それでこそギルだろう、とジーグは続けるつもりだったが、仰向けになっていた兄は身を起し素早く弟に跨ってきた。  ジーグの性器を掴み、潤滑剤を派手にひねり出してくる。 「欲しいんだ、お前が。ジーグ、今すぐ欲しい」 「……解かった」

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