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触って、キスして、愛し合って⑷
なんで寮の部屋でヤんないのかって、そりゃ、バレたら困るからだ。突然リョウタ達が帰ってくるかもしれない。寮母さんが部屋に用事伺いに来るかもしれない。別室の同級生が遊びに来るかもしれない。そして、なにより。
「いや、あっ!あぁっ……〜〜〜ぅあぁ」
寮の壁は薄いのだ。
ショウの乱れっぷりは、前回や1回目とは比べ物にならないほどだった。いまだって、挿れただけなのに、動いていないのに、全身ピンク色に色づいて、ピクピクと小刻みに全身が痙攣して、僅かに性器から白濁をこぼしていた。
うそだろ、挿れただけで……!?
「ショウ、おまえ、いまイッ………っっ!」
「はぁ、はぁ、っあ、んんぅ!……っふぁ、や、まって、はぁ、動かないでっ……!!」
ショウの中は、俺のことを離すまいとギリギリ締め付けてくる。正直ちょっと痛いほどだ。が、シーツにすがり付いて必死に呼吸を整えている媚態を見てしまったら言うことを聞くほか無くなってしまう。
「ショウ、……っ、落ち着け、息ゆっくり、ゆっくりな………ぅ」
「はぁ、はぁ、あー、っぅあ、や、も、ううぅっ、こんなっ、はぁ、あっ、知らな……!!」
「大丈夫、だいじょうぶだから、力抜いて、な?」
「きもちい、きもちい……!!」
ナカはぐるぐるとうねって引き絞る。亀頭の先も竿も包み込んでしゃぶりついてくる。
これ、やばい、もう、……持っていかれる。
「ショウ、力抜け、俺もっ………キツい、から」
「はぁ、はぁー、あー、っんあー」
「どうした、っ、んっ………、ショウ、落ち着けってば」
「やばい、あっ、ぅ、やばい、こんなん、知らなっ………」
なだめすかしてキスをして、息が整うまで待てば、それに反比例して涙がボロボロ落ちてきた。
「ど、どうした!?痛いか、ツラいか?」
「っ………ち、がう………っふ、うぅ……」
「そんなに泣かないでくれ、本当に、どうしたんだ」
「…………っ、い、けた」
ショウは両手で顔を覆って、掠れた声で喋った。いじらしくて、たまらなくなる。
「なかで、はじめてっ………まえ、さわんないで、イけた………っ!」
そんなこと、
そんなこと言われたら。
「……すまん、もう待てない、我慢できない………動く、ぞ」
「んっ、あ!ま、まって、まっ……ひあぁぁ!」
ダメだ、頭がぼんやりして、引き絞られるそこがきもち良すぎて、腰が止まらない。もう出る。ちょっと気を抜いたらすぐ出てしまう。けど、もっとこうしていたい。ずっと、つながっていたい。もう、やばい。好きだ、ショウが好きだ、愛してる、愛してる、あぁ、気持ちいい……!
「は、は、っ………………」
「ん、あ、あ!うっ、っ、んん、んぁ!はぁ」
腰を押し付けるたびに、ショウの声が溢れる。もう自分の体が、コントロール下には無いみたいだ。力なく手を伸ばしてくるから、もしかしたら止めるための動作だったのかもしれないけれど、今のぼんやりした頭では、手を伸ばしてる、かわいい、しか思いつかなくて、腰を抑えていた両手を離して、伸ばしてきていた手を掴んだ。指を絡めて、前のめりになって、シーツに押さえつけた。しばし腰は止まったけれど、前のめりになるのに合わせて、ショウの尻が上を向いて、ナカの当たりどころが変わった。
「あ、やだ、まって、当たる、なんか、あっ、や、やばい、また………!」
あ、キスできる。そう思って、涙とよだれと鼻水でぐちゃぐちゃになった、その顔中にキスをした。そうだった、キスしてやんなきゃ、ショウは怖がってるんだっけ。ぼんやりした頭でそれだけ思った。
べろあっちぃ。かわいい。好き。あー、好き。気持ちいい。あつくて、ふわふわで、甘い。
下方向へのピストンへ変わる。腰は動かしにくくなったけど、押しつけられるから、さっきより奥に入る。あー、ダメだ。出すことしか考えられなくなってくる。
「………っすまん、出すぞ」
「ひっ、いっ、あ、ああぁぁぁっ!!」
パンパンと、肌同士が当たる音が強くなる。もう出る、出る。扉がひらく、頂上が見える。もう、もう、もう、すぐ。
「っっ…………!」
「んぁあっーーーーーーーー!」
***
目覚めると、ホテルの天井だった。肌がさらさらしていたから、体を拭いてくれたらしい。ふっと横を向けば、首にタオルをかけたまま水分を取っているマコトがいた。
マコト、と呼ぼうとして、声がかすれているのがわかった。仕方なく手を伸ばそうとして、手先が痺れて動かしにくいのに気づいた。目だけでベッドヘッドの時計を見る。ホテルに入ってから、4時間経っていた。あれ、今日泊まるんだっけ。忘れちゃった。入る時緊張してたからかな、忘れた。マコトがお金払ってくれたし。
「お、起きたか、ショウ」
マコトが俺に気づいた。エスパーかよ。本当好き。
「喉渇いたろ、はい」
「……あ、りがと」
出しにくい声を頑張って出せば、無理すんなよって頭撫でてくれた。キュンとする。俺チョロい。でも仕方ない。好きなんだから仕方ない。
痛い体の節々を庇いながら起き上がって、水を飲む。喉が乾いて仕方がなかったからか、ペットボトル一本がすぐになくなってしまった。おかげで声はマシになった。
「今日、時間は?」
「朝まで」
「………なにそれ、やらしー」
「おまえが聞いたんだろ!………ってか、自分で言って照れんなよ」
「うっ、うるせーバーカ」
膝を抱えると、まだ後ろの感覚が残っているのに気付いた。
マコトは体を拭いてくれただけらしくて、尻の中のローションは流れきってなかった。ぬるりとする感覚に、さっきの衝撃が戻ってくる。
出したよな、前、触らずに。中だけで。
思い起こせば起こすほど、腰のあたりがざわざわする。痺れているというのか、そわそわするというのか、とにかくまだ、熱が燻っている感じだった。
もう一回したい、と思い至るまでにそう時間はかからない。宿泊だってわかったのも相まって、また、ゾクゾクしてくる。
「……なあ、マコトは寝た?」
「あぁ、1時間くらい。お前とそんなに変わらないさ。いやー、結構びっくりしたんだぞ、お前、気絶したみたいに落ちたから」
「………マコト、疲れた?」
俺のことなんかどうでもいい。このざわつきを、燻っている熱を、なんとかしたい。鼓動に合わせてすぐに熱を持ち始めた前も、まだヌルヌルしている後ろも、なんとかしてほしい。
「……疲れてない」
俺の言いたいことを、求めてることを、お前はどうしてそう易々と読み取るのかな。愛かな。だといいな。
ベッドに乗り上がってきたマコトから、与えられる模範解答。キスは加速度的に激しくなって、拭ってくれた口まわりをまたベトベトにする。さっきはやらなかったけど、上顎の硬いところ、ナミナミになってるそこに硬くした舌先を這わせれば、マコトの呼吸は荒くなった。知ってるよ、お前うわあご弱いもんな。あからさまなセックスアピールにわかりやすく煽られたマコトが、また俺をベッドに押し倒してきた。
「というか………お前こそ大丈夫なのか?さっき、後ろだけで射精して…」
「しゃ!っ………せい、とかいうなよ!」
「事実だろ。俺は嬉しいぞ。おまえが俺を受け入れてくれた証拠だ」
それで、たいそう満足そうに笑う。なんだよそれ。嬉しそうにしちゃってさ。でも。
「……っお、俺だって、嬉しかった………」
「ショウ…!」
「でも、最後!ちょっと怖かった……から」
「す、すまん、興奮して」
「………もうちょっと、優しく、して」
「………っあ、煽るなよ、また興奮してきちゃうだろ」
「煽ってねーよ!」
「いや、俺が煽られたら煽ったのと変わらんだろ」
「そんなんおまえの勝手じゃん!あっ、も、止まれバカ、もーー!!」
触って、キスして、愛し合って。
3回目はまだ、終わりそうも無い。
完
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