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社長の真意①

side:黒原俊樹 思わぬ高額契約を終えた車中で、社長がご機嫌で話しかけてきた。 「な、俊樹!俺が言ってる通りだろ? 西山君を充電すれば、何もかもが上手くいくんだ。 今日だってそうだっただろ?」 「西山君、今頃凹んでいるんじゃないですかね。」 『社長のセクハラとパワハラに悩んでる』状態だとは思ってもいない社長に、ワザと冷たく言い放った。 「え?何で凹むんだ?ひとりにしてきたからか? 分かった!じゃあ、次から同行させよう!」 「そういう問題ではない。 お前…ほんっとに無自覚なんだな…そのアホな頭ん中、ちょっと診てもらってこいよ!」 もうタメ口に変わっていたが、そんなことに構ってられなかった。 御目付役という立場で仕えてはきたが、何分同い年で幼馴染、二人っきりになると遠慮はない。 お互いに、言いたい放題思ってることが炸裂する。 「俊樹…それ言い過ぎじゃないか? どういう意味?」 「はあっ…一から説明しなくちゃならんのか? やっぱり満は『空気読めない』奴なんだな。 西山君は、将来を見越して育てている俺の大切な後継者なんだ。 聡くて真面目で細やかな気配りもできる、性格もいい、これはメガヒットな子が入社してきたと本当に喜んでるんだ。」 「そんなこと、面接した俺が1番よく分かってるよ。」 「分かってないって! 毎朝のハグ、あれ何様のつもり? 今もそうじゃないか! おまけに何だって?『西山君を充電すれば、何もかもが上手くいくんだ。』だと? アホか! 彼は立派な成人男性で、お前がおもちゃみたいにラッキーアイテム扱いしていいはずがない! お前が調子に乗ってセクハラまがいなことをするせいで、彼がどんなに気を病んでるか分からないのか? この、どアホ!」

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