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秘書の真意①

あれから1週間経った。 朝の伝達は、少しでも接していたいであろう満の気持ちを汲んでせめてもと、西山君に任せてある。 アイツ、どんな顔して我慢してるんだろう。 あれから俺には一切愚痴らない満。 それとなく話題を振っても、曖昧な笑顔を返してくるだけ。 そのことが、彼の真剣さを伝えてくる。 毎日ドキドキしながら、飢えた獣の前に美味そうな肉塊を送り込む気分。 “待て”を強いられた獣の理性はいつまで続くんだろう。 自分が言いつけたことながら、気の毒になる。 俺が行ったほうがいいのか、でもそうすると西山君は『自分は不要なのでは?』なんて妙な気を回しかねない。 西山君が戻ってきた。 「どう?今日もハグ治まってる?」 「はい、お陰様で。ありがとうございます。」 やっぱり満のハグはなくなったらしい。 微笑む顔に何となく影がさす。ん? それにしても…そのうかない顔は何故なんだ? 今日の社長は1日執務にあたるから、社長室に篭るはず。 来客もお断りして緊急事案以外は取り継がないし、社長は事務仕事に集中してるから用事がない限り呼ばれることはない。 俺達にとってものんびり過ごせる日だ。 このままではいけない。何とかしなければ満の精神衛生上よろしくない。 「西山君…ちょっと…」 「はい。」 ソファーに掛けるよう促し、コーヒーを彼の前に差し出した。 「ありがとうございます…」 「今まで嫌な思いをさせて悪かったね。すぐに対処できなくて時間がかかって申し訳なかった。 社長は?もう、大丈夫?」 「はい。普通に接して下さってます。 ハグは…もうありません。」 「そう、それならよかった。 これでセクハラめいたことはもうないと思うんだけど…ねぇ、他にも何か悩んでることある?」 「え?」

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