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秘書の真意③

西山君は絞り出すようにそう言うと、両手で顔を覆って突っ伏してしまった。 見る間に耳が赤く染まっていく。 俺も頭がこんがらがってきた。 満はハグしたいのを耐えている。 西山君は…その満を抱きしめたくて困ってる。 おれの頭にある一つの結論が閃いた。 「…西山君…君達、ひょっとして“両片思い”じゃないのか?」 西山君は顔を上げると、覆った指の隙間から目だけ出して俺を見て言った。 「…“両片思い”???」 「うん。西山君、社長のことどう思ってる?」 「えーっと…トップでありながら偉そうぶったところもなくて、新人の自分達にも優しく接してくれるし、頭も良くって、決断力と実行力があって、オマケにイケメンで、男性として欲しいものを全て持ってる『スパダリ』だと思ってます。」 「褒め過ぎだな。言っておくけど、そんなに完璧で出来た奴じゃないぞ。外面がいいからな。大抵みんな騙される。 本当のアイツは…いや、今はその話じゃない。 そうじゃなくって、ぶっちゃけて聞くけど、恋愛対象としてどう思ってるの?」 「れっ、れっ、恋愛対象っ!?」 「そう。likeじゃなくてloveかどうか、ってこと。 俺はそんな関係には全く偏見がないから気にしないで。 そこ大事なとこだから、正直に聞かせて。」 西山君は顔からそっと手を外した。 真っ赤な顔が何とも言えずかわいらしい。 瞬きの回数が半端ない。明らかに動揺している。 「likeじゃなくてlove…」 ぼそりと呟いて考えている。 感情のコントロールが効かなくなったのか、じんわりと目に涙が溜まっている。 ヤバい、泣かせた? 俺はそんな彼を見つめながら心の中で叫んでいた。 どう考えてもそれって『love』だろ? ハグを嫌がったのは、自分の気持ちを悟られたくない、認めたくなくて無意識に拒絶するようになったんじゃないのか? 『嫌よ嫌よも好きのうち』なんて言葉が浮かんだ。

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