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内緒(2)
これが肝心、有給休暇の申請。
「黒原さん、お願いがあります。」
「どうしたの?改まって。」
「あの…社長のお誕生日に、私のお休みをお願い致しますっ。」
「ははーん…料理でおもてなしか?やるねぇ、西山君。何作るの?
いいよ、いいよ。いつも頑張ってくれてるから。
当日とその翌日も、2日間で申請書書いといてね。」
「いえ、料理の準備があるから当日だけでいいんです!」
「いいのいいの。2日間書いといて。(小声で:翌日も休む羽目になるんだからさ)
直前に出さないとバレたらマズいだろ?どうせサプライズなんでしょ?
バレないように俺が預かっておくよ。」
黒原さんは、にひひと悪代官のような笑い方をした。
途中何かごにょごにょと言っていたが聞き取れなかった。
上司のOKが出たから、そそくさとデスクに戻り
『私用のため』と堂々と記入して、取り敢えず言われた通りに2日間の申請をした。
学習能力のない俺は、2日目にまた不貞腐れることになるのも知らずに。
今日は社長が接待で遅くなるのが分かってるし、別々に帰宅する。晩ご飯の用意は自分だけでいいから残り物で済ませるつもり。
黒原さんも用事があるみたいで「ダッシュで帰宅するよ」と、今日は朝からやけにソワソワしてる。もしかして…彼女とデート!?
終業のチャイムを待ち兼ねるように2人で席を立つと、顔を見合わせて笑った。
「西山君、お疲れ様。鬼の居ぬ間に何とやら。
さぁ、帰るよ!」
「はい!お疲れ様でした。」
玄関まで肩を並べ、また明日、と別れた。
さぁ、手芸店に直行だ!
「こんにちはー。」
「いらっしゃいませー!あら、檸檬君お久し振りっ!
新婚生活はどう?楽しんでる?」
チーフの大畑さんにハグ付きで迎えられた。
「あははっ。それなりに、ですけど。
ご無沙汰してます。
その節はお世話になりありがとうございました。」
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