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内緒(4)
多恵子さんだけでなく、大畑さんに、いつの間にか加わっているすみれ店長、偶々来ていた常連の池田さんまで巻き込んで、あーでもないこーでもない、そっちじゃなくてこっち、いや、さっきの、なんて大騒動になっていた。
結局、俺が考えたデザインに落ち着いて、多恵子さんの実家のお店にもお邪魔することになった。
「お値段勉強するように伝えるから安心して。私も一緒に行くから。
チーフ、ちょっと早いけど今日上がってもいいですか?」
「勿論よ!多恵子さん、お父様とお兄様によろしく伝えてね。」
「そんな!俺のためにそこまでご迷惑を掛けるなんてできません!」
「檸檬君、こんな時はオバちゃんの意見に逆らっちゃダメよ。
さぁ、多恵子さんといってらっしゃい。」
「そうそう。逆らったら後が怖いわよぉ〜。」
「そうよ、出禁にしちゃうぞ。」
あははっ
「…じゃあ、遠慮なく甘えます。ご迷惑掛けて申し訳ありませんけど、よろしくお願い致しますっ。」
頭を下げた俺に、すみれさんは優しく
「檸檬君、“持ちつ持たれつ”よ。いってらっしゃい」
と言ってくれた。
「はい、いってきます!多恵子さんお借りします。」
と元気に答えて、多恵子さんと店を後にした。
「多恵子さん、お仕事中なのに申し訳ありませんでした。」
「いいのよ、今日は暇だったし。気にしないで。
久し振りに親の顔も見たかったから丁度良かったわ。かえってダシに使っちゃってごめんなさいね。」
ふふっ、と笑う多恵子さんに、もう一度「ありがとうございます」と伝えて、お店に着くまでアクセサリーの話で盛り上がった。
「さぁ、ここよ。」
「え…嘘……ここって…」
「檸檬君、知ってるの?」
俺はこくこくと何度も頷いた。
忘れもしない『jewelry halfmoon 』。
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