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溺れていく⑤

ぬちゅぬちゅという自分の下半身から聞こえる滑った音と、口から零れ落ちる媚びたような吐息混じりの声が響く。 「…そろそろいいか…」 ひとり言のように呟いた社長が指を抜いた。 既に許容範囲の限度一杯の俺の意識は、それでも社長の一挙手一投足を追い掛けていた。 “そろそろ”って…やっぱり“とうとう”なんだ… 社長がスキンの角を口に咥えて破った。 カッコいい。何をやってもサマになる。 視線を下にやると…うわっ、無理っ!そんなの入らないって…うそっ。 俺の動揺を他所に、隆々と天を向くソレに器用に装着した社長はひと言。 「檸檬、力抜いてて。」 そんなっ、力なんて抜ける訳ないじゃん! 無理です、無理っ。裂けるっ。痛いのやだっ。 心の中はそう叫んでいるのに、催眠術にでも掛かったように身体が動かない。 社長は俺の頬をするりと撫で 「檸檬の全てを俺にくれ。」 と耳元で甘く囁くと、切っ先を押し当て入ってきた。 ここまでくると変な落ち着きが俺の中に生まれてきた。 好きな人に抱かれるんだ。怖くない。絶対に痛くない。 大きく深呼吸するように言われ、息を吐き出すタイミングで社長が埋まってくる。異物感は拭えないが、みっちりと襞をかき分けて社長が少しずつ少しずつ俺の一部になってくる。 泣きたくないのに涙が溢れていたようだ。 そっと目尻を拭われて 「痛いか?」 と辛そうに問われた。 急いで首を横に振り縋るように腕を掴む。 「社長、好きです。愛してます。」 大きく目を見開いた社長は噛み付くようにキスをしてきた。 その反動で、社長自身が一気に押し込まれ、痛いと思う間もなく俺達は完全に密着していた。 押し広げられた隘路は、ぴったりと吸い付いている。 「…檸檬、それ反則。」 愛おしげな視線。頬を滑る熱い手の平。 「愛してるよ。」

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