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溺れていく⑨
さっきから指で散々弄られ敏感になっていたところに、更に刺激を与えられて思わず声が出て背中が反った。
ぎゅうっと胸を押し付ける形になってしまった。
「檸檬、気持ちイイか?」
そんなこと聞かないでほしい。
黙って涙目で見つめる俺の髪の毛を掬い上げた満さんは、意地悪い微笑みを浮かべている。
ぴったりとくっ付けられた下半身は、お互いの滑った屹立同士が擦れ合い、そこから甘い痺れが立ち上ってくる。
俺、実は女の子と付き合ってた時もそんなに経験がない。
ソノ時だって『ヤった』感ばかりで心の底から『気持ちイイ』とは思えなかった。吐き出した、と言ったほうが当たっているか。
今は……初めて植え付けられるような『気持ちイイ』という感情が溢れて止まらなくなっている。
「んっ…ん…っ」
「檸檬、お前が感じてる声聞かせて。
俺の愛撫で気持ち良くなってる姿、見せて。」
「…んっ、ズルい……あっ」
突然、後孔に何か捻じ込まれた。
それはぐにぐにと俺の隘路を進み、ある一点を押した。
「ひぅ」
しこりを何度も押されて、身体がびくびくと痙攣する。
止めて。そこ。変になる。
怖いくらいに雄の印が反応してそそり勃つ。
「あうっ」
ぎゅ、と握り込まれて、また甘い声が口から溢れる。
前と後ろを同時に責め立てられて、気持ち良過ぎて何が何だか分からなくなり、頭がおかしくなりそうだった。
それなのに、もっともっとと満さんを欲しがって狂い始める。
開発されていく俺の身体と心。
もう、このひとしか受け入れることができなくなるんだろう。
まるで蜘蛛の巣に掛かった虫のようだ。
気付いた時には身動き取れなくなっている。
「檸檬…愛してる…愛してるよ…」
ナカも外も。聴覚も視覚も嗅覚も。
五感全てを奪われた。
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