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聡子さん①

思いを通じ合い身体を重ね、頭の中はハートマークで満タンの俺達は、バカップルよろしく車内でも指を絡ませて、エロオーラ満載で出社した。 何故か… いつもより早く出社していた満面の笑顔の黒原さんに出迎えられた。 「社長ーっ、西山くーん!おっめでとぉーーっ! ふっふっふっ…お二人さん、私に何か言うことありませんかね?」 社長と俺は顔を見合わせ…社長は堂々と胸を張り、俺は顔を赤く染めて俯いた。 「黒原、俺は檸檬と心も身体も通じ合っている。 檸檬と結婚する! ついては、お前にサポートを頼みたい。 よろしくお願いします。」 社長が頭を下げたので、俺も小さな声で「お願い致します」とだけ言い、そのまま更に頭を下げた。 「おおっ…貴重な社長の頼み事… それについては私からも相談が…」 「『聡子さん』だろ?」 聡子さん!? 「そうそう。あのひとをこっちの味方に引き入れなきゃ。 『善は急げ』で、今夜7時にアポ取ってある。 西山君を連れて行くのは…この次で良いと思うんだが。」 「流石黒原、仕事が早い! そうだな、まず俺とお前だけで…」 不思議そうに首を傾げた俺に気付いた社長は 「聡子さんはな…まぁ、言うなら『春日局』みたいな感じだな。 本家の奥向き一切合切を取り仕切る“影の権力者”。これ言うと怒られるんだよなぁ。 あのひとの一声で黒が白に変わる。 逆に言えば、あのひとに気に入られたら何があっても上手くいく。 かといって、賄賂やおべんちゃらは全く通用しない、中々手強い相手だよ。 ま、檸檬は大丈夫だと思う。」 「えっ…そんな大変なひと…何だか姑の最終形態、ラスボスって感じですかね?」 「あははっ、西山君、その通り! 満と俺は小さい頃からかわいがられてたから、頭ごなしに言われることはないと思うんだけど…」

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