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修行スタート!③

俺はもぐもぐと口を動かしながら、昨夜のことを思い返していた。 別れ際、満さんは俺を抱きしめて 「檸檬、こんなことになってごめん。 『守ってやる』って約束したのに…こうなった以上、俺には手出しができない。 暫く会えないが…俺は『耐えてくれ』としか言えない。 俺の家の事情に巻き込んですまない。許してくれ。」 「俺なら大丈夫です! ある程度覚悟していたことですから。 嫁として認めてもらえるように努めます。 でも…寂しいです…」 「檸檬…」 そっと重ねられた唇。 名残惜しげに離れていく熱を追い掛けるように、満さんの唇を指でなぞった。 「檸檬、愛してる。」 「満さん、愛しています。」 もう一度抱きしめ合って、キス。 「……さん、檸檬さんっ!」 「はっ、はいっ!」 「…味噌汁溢れる。」 「すいませんっ。」 ヤバい、トリップしてた。 ご飯も味噌汁も皆と同じように遠慮なくお代わりして、人心地ついた。 頑張らなきゃ。 片付けを終えると自由時間がある。 その間に俺は今後のスケジュールの確認と、部屋の配置図を覚えた。 時間が瞬く間に過ぎる。 注意されたことはメモして、分からないことは何度も聞き返す。 瞳さんは、しつこい俺に最初片眉が上がっていたが、そのうち丁寧に教えてくれるようになった。 結局、初日は掃除で終わった。 だだっ広いお屋敷は、やってもやっても掃除のしがいがある。 今まで嫁いできた伴侶達も通ったであろうこの修行。 何十何百年と守られてきたこの家に、俺が関わっていく。 やる事は盛り沢山。何から手を付けていいかも分からないけど、その日その日を一生懸命やっていく。 俺は不器用だけど、根性は人一倍だから。 下手でもいい。心を込めて。 ひとっ風呂浴びてそんなことをぼんやり考えていると、LINEの着信があった。 満さん!? 慌てて画面を開くと 『檸檬、どうしてる? 情けない伴侶で申し訳ない。 愛してる。 お休み。』

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