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修行スタート!④

満さんが凹んでいる。 黒原さんが言っていた『社長はヘタレだ』という台詞がポッと浮かんだ。 あんなにカッコ良くて、決断力や行動力があって、ハイスペックなのに。 でも、守ってくれた…よね。 満さん、ちゃんと抵抗してた。あの後、席を外して俺達の見えないところで聡子さんとずっと話し合ってた。 時々、怒鳴り合うような声も微かに聞こえた。 けど、あの聡子さんには逆らえないよなぁ。 でも、でも、俺は見直したよ。満さん、ヘタレじゃない。 まぁ、仕方がないと言えば仕方がない。 この家は特殊なんだ。 『今日は一日掃除を教えてもらいました。 俺は大丈夫。 愛してますよ。 お休みなさい。』 長々と文字を連ねそうになるのを我慢して返信した。 “オヤスミ”のスタンプを送り合って、携帯を置いた。 心配してくれてるんだ。 『修行が終わるまでお会いになることはできません』 って聡子さんに威嚇されてたから…2人で決めた『3行の恋文』。 何とかやり遂げなきゃ。 そうでないと俺はただの檸檬で終わってしまう。 さぁ、明日も頑張ろう! 横になって腕や足の筋肉をほぐしながら、俺はいつの間にか眠ってしまっていた。 ジリリリリリリ ん…うるさいなぁ…何時?まだ早いじゃん。 あと5分…ん…… スパ――ンッ 「檸檬さんっ!起床っ!」 「うわぁっ!」 ヤバいっ!昨日と同じ光景。 慌てて着替えて…うわぁ、デジャブ… 寝ぼけ眼で今日も瞳さんの後をついて行く。 昨日と同じ場所、同じ作業。 丁寧に、丁寧に。 ご飯も美味しくいただいた。 ここの女性達は、よく食べる食べる。 朝からバンバンお代わりする。 「檸檬さん、しっかり食べないと。」 瞳さんに空になりそうなお茶碗を催促される。 「ありがとうございます。いただきますっ。」 負けじと俺もお代わりした。 今日も初日と同じ所の掃除。 誰も使ってなくても埃は溜まる。 ピカピカにしてると俺の気持ちもピカピカになってくるみたいだ。

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