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修行スタート!⑤
あれから1週間……
夜は、21時半にはお風呂も済ませて割り当てられた部屋に戻る。
1番最後の人が…これは有無を言わさず俺なんだけど…お風呂掃除をすることになっている。
実際使用するのは聡子さんと俺。
自分家 でもそうだったから全然苦にならない。
聡子さんは『掃除が減った』と密かに喜んでいるらしい。
あとの3人は、定時になると同じ敷地内のそれぞれの家に帰って行く。
話の端々を総合すると、どうやら金山家の親戚筋からの選抜部隊のようだ。
瞳さんによると
『ちょっと前までは、ご奉仕よろしく睡眠時間なんて3時間だったそうよ。
今のご時世じゃあ、そんなこと通用しないものね。
労基に訴えられて指導が入って罰金かしら。
まぁ、良い時代になったわね。』
だそうだ。
遅くても22時就寝。
一日中ほぼフルで動くから、その頃にはダウン寸前だ。自分の部屋に帰るとドッと疲れが増し増しに襲ってくる。夜更かしなんてとんでもない。
満さんとは、寝る前にほんの3行のLINEのやり取りのみ。
それ以上やると、未練がましく朝まで長文を打ち続けそうで、睡眠不足になっても困るとお互いに決めた。
見たいテレビ番組は録画して溜まる一方。
きっちりアラームセットしているが、健康的な生活のせいか、目覚ましが鳴る前に起きれるようになった。
必然的に聡子さんの朝の突撃はなくなった。
俺は全部の部屋の掃除を制覇した。
慣れてきたのか、瞳さんの口出しも減りつつある。
風当たりは…ないとは言わない。
無言の圧が垣間見える時もある。
それに…足袋が片方なくなったり、足を引っ掛けられそうになったり。
ひそひそ話をしてクスクス笑われたり。
そんな地味な“イジメ”を受けている。
けど、そんなことに構ってはいられない。
少々のイジメっぽいことがあっても、俺は気にせず気付かないフリをしている。
虐めたくもなるよな。
当主の伴侶が男だなんて。
ましてや親戚なら世間体もあるだろうし。
ちょっと凹む。
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