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修行スタート!⑨

いつもの掃除を済ませると午後からは茶道。 こちらも簡単なお手前ならできる。 何年経ってもブランクがあっても、身体が覚えてるもんなんだな。 「檸檬さん、猫背。」 「はいっ。」 時々注意を受けながら、記憶を辿りつつ何とか無事にお稽古は終わった。 これからは週一回お稽古をしていくらしい。 聡子さんが 「檸檬さん、あなた思っていたより大丈夫みたいね。 明日はお裁縫見せていただくわ。」 「はいっ!よろしくお願い致します。」 「満様の浴衣を縫ってもらおうと思っているの。 明日午前中に生地を買ってきて頂戴。予算はこの中に入っているから、必要な物も揃えてきて。 午後から縫いましょう。」 「生地と糸だけでよろしいですか? 好きな生地を選んできてもよろしいですか?」 「ええ。道具はこちらにありますから。 あなたがどんな柄を選んでくるのか楽しみにしているわ。」 やっぱり言葉の端々にトゲがある。 負けるもんか。 元手芸部副部長を舐めるなよ! 浴衣は何度か作ったことあるし、俺には強い味方が付いているんだから。 あそこに行くにはここからだとどの路線になるのか…後で調べよう。 「承知致しました。 では明日の朝イチで出掛けさせていただきます。」 俺は頭を下げながら、心の中でほくそ笑んでいた。 見てろよ。 俺のことを調べたらしいが、学生時代の授業とか部活のことまで把握してるんだろうか。 副部長だったとはいえ、表向きではなく影の部員だったから分からないかもしれないな。 昨日も今日も、俺がある程度こなしたことを意外に思ってる感じだった。 ぜぇーーったい、美しく仕上げてみせる。 満さんにはどんな色が似合うんだろう。 今持っている色や柄と被るのは嫌だな。 「聡子さん。」 「何でしょうか。」 「満さんが持っている浴衣を見せて下さいませんか? 色や柄が被ると面白くないので。」 「…ええ、勿論。こちらにどうぞ。」

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