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心配性の当主⑦
俺の家系は、過去何人も同性の伴侶を迎えているから、皆んなそういうことには免疫がある。
分家も多いし、現当主に何か不慮の事態が起こっても次期候補には事欠かない。
現に俺の後を継ぐのに打診した本人やその家族からは、快諾を得たと聞いている。
俺と檸檬が結ばれるについては、俺側には全く障害がなくなった。
あとは…檸檬側の承諾を得られるかどうかだ。
これについても、聡子さんが何もせずに“修行”に入るわけがないから、恐らく納得してもらっているのだろう。そう確信している。
引き離されて以来、取り越し苦労とでもいうのか、ぐるぐる巡る思いを持て余している。
またこうやって落ち込んで滅入っている姿を俊樹が見たら、背中を引っ叩かれてハッパをかけられるんだろうな。
そういえば、今まで多少のヤンチャも遊びも、見て見ぬ振りをして庇ってもらったり、今みたいに背中を押してもらったことも数知れず。
俺のせいで各方面から叱責されてたのも知っている。ごめん、俊樹。
巻き込んだ俊樹には悪いと思っているが、アイツなら何をやっても許してくれるという安心感がある。
友人として参謀として、腹を割って本音を言えるのは俊樹だけだ。
アイツがいなければ、俺は檸檬と恋仲にはなっていなかった。
まぁ、おっさんのキューピットという訳だ。
本当に、足を向けては寝られない存在。
アイツもいい年なんだから、そろそろいいお相手と巡り合って幸せになってほしい。
顔も頭も性格も申し分ないというのに、何を選り好みしてるんだろう。
まさか意中の相手でもいるのだろうか。
仕事の手が空いた時にでも聞いてみるか。
『満のことばかりに振り回されて…』という理由ならそれはそれで申し訳なさ過ぎる。
はぁ……
また今夜も寝つきが悪い。
檸檬、この手に早くお前を抱きしめたいよ。
その日が来るまで、俺は俺なりに頑張るとするよ。
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