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本領発揮(6)

ホッとひと息ついて部屋に戻ってきた。 そろそろ満さんからLINEが来る頃かな。 ピコン 『檸檬、ご飯は食べてるか? 俺はお前と向かい合って笑いながら食べたいよ。 だから会える日まで……がむしゃらに頑張る。』 満さん…… 「今日はカツ丼でした。 今度レクチャーしてもらうので、絶対に食べてほしいです。 俺も…負けずに頑張ります!」 ファイト!と叫ぶ犬のスタンプが送られてきた。 すぐに旗を振って応援するウサギのスタンプを送り返した。 決めた!ここから帰って最初に振舞う料理は勝利のカツ丼だ! 満さんも戦ってるんだ。だから俺も! ここでできることを精一杯頑張る。 金山家の嫁として恥ずかしくないように、教えてもらえることは全て身に付ける! よーし。頑張るぞ! 決意も新たに日課のストレッチを終えると、布団に潜り込んだ。 満さん、大好きです。1日でも早く会えますように。お休みなさい… 翌日、いつもよりすっきりと目覚めた。 朝の掃除を終えると、瞳さんに 「檸檬さん、お昼になったら呼びに行くから、あなたは縫い物に専念してね。」 と言われ、ありがたくその通りにさせてもらう。 何だか俺に対する皆んなの当たり具合が違ってる。 気のせいだろうか。 トゲのあった態度や言葉が緩やかに感じる。 何故? ひょっとして、少しは認めてもらい始めたんだろうか。 そうだといいんだけど。 「今日もよろしくお願いしますっ!」 恒例の儀式を終えて針に糸を通す。 ひと針ひと針、思いと願いを込めて。 少しずつ少しずつ形になっていく。 「…檸檬さん、そろそろお昼よ。」 「ありがとうございます。今行きます。」 瞳さんの呼び掛けに答え、一旦中断。 あと少しだ。 もうすぐできあがる。 「檸檬さん、お裁縫いつ習ったの?」 「実は高校の時手芸部だったんです。」 「あぁ、どおりで。」 瞳さんが、納得した、と笑っていた。

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