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受け入れて認める(1)
side:聡子
密偵から連絡が入った。
『どうやら満様に意中の方がおられるようです』
ホッとした反面、すぐに相手のことを思った。
「お相手のことを調べる様に」
それはすぐに報告が上がってきた。
見習い秘書の西山檸檬――え?男性!?
まさか、本気なのかしら?
履歴書のコピー、身上書、親兄弟親戚関係まで全ての情報が目の前にあった。
「まさか…ね?」
俊樹を呼び出して問い詰めた。
「満様は本気なの?
あなた、お側についていながら何故私に何も言ってこなかったの?」
「ご報告が遅れたことは申し訳ございません。
社長の気持ちを大切にしたかったので、敢えてお伝えしませんでした。
社長は本気です。真剣です。
同性同士ですから世継ぎは望めない、だから次期当主のことも既に考えておいでです。
あの方があそこまで本気になった相手は未だかつておりません!
西山君は私の部下でもありますが、真面目で素直で本当にいい子です。
財産狙いとか、そんなことは一切ありませんから!
それにモーションを掛けて落としたのは社長ですからね!」
「何てこと……まぁ、代々そちらの趣味の当主もいたから、私は驚きませんけどね。
でもまさか満様がそうだったなんて。」
「思いを通じ合っていますから、引き離すことはできませんよ。
実際にご覧になっては如何ですか?
きっと聡子さんも気に入ると思います。
そして、社長と西山君が法的にも結ばれる様に、お力をお貸し下さい。
お願いしますっ!」
「あら、随分と大きく出たわね。
それにあなたが素直に頭を下げるなんて…
いいわ。関係書類も見たけど、不安要素もありませんから。
ご本人と直接会ってみなくては。それに西山家との話し合いもね。
それ次第では破談になる場合もあるのよ?
……満様と詰めた話をせねばなりません。
いいわね?」
「はいっ!聡子さんが認めて下さればあとは」
「まだ認めたわけではありませんよ。」
「いいえ!絶対に気に入りますよ!」
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