80 / 371

受け入れて認める(1)

side:聡子 から連絡が入った。 『どうやら満様に意中の方がおられるようです』 ホッとした反面、すぐに相手のことを思った。 「お相手のことを調べる様に」 それはすぐに報告が上がってきた。 見習い秘書の西山檸檬――え?男性!? まさか、本気なのかしら? 履歴書のコピー、身上書、親兄弟親戚関係まで全ての情報が目の前にあった。 「まさか…ね?」 俊樹を呼び出して問い詰めた。 「満様は本気なの? あなた、お側についていながら何故私に何も言ってこなかったの?」 「ご報告が遅れたことは申し訳ございません。 社長の気持ちを大切にしたかったので、敢えてお伝えしませんでした。 社長は本気です。真剣です。 同性同士ですから世継ぎは望めない、だから次期当主のことも既に考えておいでです。 あの方があそこまで本気になった相手は未だかつておりません! 西山君は私の部下でもありますが、真面目で素直で本当にいい子です。 財産狙いとか、そんなことは一切ありませんから! それにモーションを掛けて落としたのは社長ですからね!」 「何てこと……まぁ、代々の当主もいたから、私は驚きませんけどね。 でもまさか満様がだったなんて。」 「思いを通じ合っていますから、引き離すことはできませんよ。 実際にご覧になっては如何ですか? きっと聡子さんも気に入ると思います。 そして、社長と西山君が法的にも結ばれる様に、お力をお貸し下さい。 お願いしますっ!」 「あら、随分と大きく出たわね。 それにあなたが素直に頭を下げるなんて… いいわ。関係書類も見たけど、不安要素もありませんから。 ご本人と直接会ってみなくては。それに西山家との話し合いもね。 それ次第では破談になる場合もあるのよ? ……満様と詰めた話をせねばなりません。 いいわね?」 「はいっ!聡子さんが認めて下さればあとは」 「まだ認めたわけではありませんよ。」 「いいえ!絶対に気に入りますよ!」

ともだちにシェアしよう!