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受け入れて認める(5)
お預かりして暫く観察していて、面白いことが分かった。
檸檬さんはそこら辺の女性よりも家事ができるということ。
それに飲み込みが早い。頭のいい子だ。
こちらの言うことを素早くキャッチして、すぐに行動に移せる。
一度した失敗は二度としない。
何事も満様のために、という思いがぐいぐい伝わってくる。
何よりも、素直で一生懸命なところがいい。
『ありがとうございます』
『申し訳ありません』
咄嗟にこの言葉が出てくるなんて、ご両親の躾が良かったのね。
これは取り繕うことができないから、持って生まれた性格もあるだろう。
初日から質問攻めにされた瞳さんは辟易していたけれど、私は好感を持った。
分からないことは教えて下さい、という謙虚さ。
これは…思った以上にイケる。
満様、あなたはひょっとしたら金の卵を手に入れたのかも。
それにしても、テンプレ通りのイジメをやりおって。
私が気が付いていないとでも思っているのか。
少し締めておくとしようか…
「順子さん、朱音さんと瞳さんを呼んで頂戴。」
「はい。檸檬さんは?」
「いいの。あなた達3人で。」
順子さんは何かを察したのか飛んで行き、慌てて3人がガン首を揃えて座った。
「どうして呼ばれたのか分かりますよね?」
青い顔をして俯く3人。
ふーん…虐めてる自覚はあったのか。
「私は最初にお願いをしたはず。
それを守れないということは、どういうことかも分かりますよね?」
ひっ、と瞳さんが喉を鳴らした。
それに構わず続けて言い放つ。
「誰が言い出したのか、そそのかしたのか。
そんなことはどうでもいい。
やってることには変わりはないから。」
順子さんが平伏した。
「申し訳ありませんでした!
私達が勘違いをしておりました。
心を入れ替えて改めますので、何卒ご容赦願いますっ。」
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