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受け入れて認める(6)
この本家で働くということは、特に金山の親族にとって垂涎の的だ。
ただし条件がある。
家事全般は勿論、あらゆる部門において最低限の知識と技術、それに加えて何か秀でた資格を持っていなければならない。
滅多にはいないスーパーウーマンという訳だ。
必然的に本家は精鋭部隊となってくる。
自分の身内から本家に上がる者が出ると、その家の格が上がると言われている。
給料も破格の待遇で、旦那からは勿論のこと、舅や姑からは『よくやった!』と褒められ、一生大事にされる。
嫁イジメなんて起こるはずもない。
そんなメリットがあれば、その反対にもし万が一にでも不祥事でも起こせば即解雇。
家に帰ろうにも、家族の期待が大きいが故に『顔に泥を塗った』と非難され最悪の場合離縁。
別れなくとも肩身の狭い生活が待っている。
今回の虐めについて、本人達は軽い気持ちでやっていたのだろうが、本来なら当主の婚約者に嫌がらせをした咎 で解雇の対象になるのは必然。
御隠居様の耳に入れば明日にでもここを去らねばならなくなる。
「聡子さん、本当に申し訳ありませんでした。
男性の婚約者を受け入れることができなくて、つい…どうかお許し下さい!」
「申し訳ありません!お許し下さい!
どのような処分でも受けますが、何卒解雇だけはお許し下さい!」
其々に詫びの言葉を口にして、震えながら頭を下げ続けている。
3人とも涙声だ。今更ながら自分達のやったことの大事 さにパニックを起こしている。
後悔して泣くなら最初からやらなければいい。
「あなた今、『男性の婚約者』と言いましたけど。
御隠居様は好きにせよと仰った。お認めになられた。なのに、それに逆らったということなのよ。
檸檬さんは金山家にというよりも、満様のために一生懸命取り組んでいます。
見てたら分かるでしょ?
それなのにあなた達ときたら………」
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