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受け入れて認める(8)

「……聡子さん、入ってもよろしいでしょうか?」 その後……暫くして殊勝な顔をした3人がやって来た。 猛省したのだろうか。 3人とも目も鼻も真っ赤にしている。 檸檬さんへの謝罪、というよりは自分達の今後のことに重きをかけた感もするが。 賢い彼女達のこと、その辺はちゃんと計算しているはず。 だが、元々人選の上にも人選して、能力は勿論性格の良い人を選んでいる。家族のように時を過ごしてきて、お互いの良いところも悪いところも分かり合っている。 大切に育ててきた次世代の子達だ。そんなに簡単に縁を切ったりはしないし、するつもりも毛頭ない。 当主は勿論、その伴侶や関わる人達にも心を配る思いやりのある人達であってほしい。ただそれだけだ。 しっかり反省して、ここを守り盛り立ててくれればいいのだ。 「聡子さん、浅はかな思いと行動で、檸檬さんに当たって嫌がらせをしておりました。 自分達の分を弁えない、卑劣で最低な行いでした。 本当に本当に申し訳ありませんでした。 私達も心改め一から修行をやり直すつもりで励みます。檸檬さんにも誠心誠意お仕えさせていただきますので、どうかどうかここにお留め置き下さいませ。」 「1番謝らなければならない方は誰か分かっていますよね?」 「「「はい!」」」 「檸檬さんに面と向かって言う必要はありませんし、媚びる必要もなし。 今後、誠心誠意どのようにお仕えしていくのか、あなた方の気持ちひとつです。 賢いあなた達ですから分かりますよね?」 「……お許しいただけるのですか?」 「あの方が何も仰ってこない以上、私が言うことはないでしょう。」 ホッと息を吐く声がした。 「ただし」 びくっ 「2度目はありません。 肝に銘じて、一層励むように。 このことは他言無用です。」 「「「ありがとうございましたっ! 本当に申し訳ございませんでした!」」」 「分かれば良し。持ち場に戻りなさい。」

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