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受け入れて認める(9)

これで解決…したわね。 そう。2度目はない。彼女達も決して同じ過ちはしないはず。 今後は檸檬さんの力強い後ろ盾になってくれるでしょう。そう願うし信じている。 さて、もうひとつ大切な用事を済ませなくては。 「出掛けてきます。夕食の用意はいらないわ。」 この時間なら着く頃には客足も少しは引いているでしょう。 バスに揺られながら、心が弾んでいる。 駅前の和菓子屋で詰め合わせを買い求めた。 そうそう。あの子は幼い頃からどら焼きが好きだったのよ。きっと喜ぶわね。 留守番の4人にもお土産として包んでもらった。 あら。相変わらずの繁盛振りだこと。 まだ早かったかしら。 「こんにちは。」 「いらっしゃいま…まぁ、っ!? 久し振りっ!ようこそ。こんな時間にどうしたの?」 「ご無沙汰してごめんなさいね。 この位の時間なら大丈夫だと思ったんだけど…商売繁盛いいことね。 閉店まで奥にいてもいいかしら?」 「勿論よ!あとはお店の子に任せるから、私も上がるわ。先に入ってて!」 「ありがとう。久志さんは?」 「町会の寄り合いでいないんだけど、もうすぐ帰ってくるはずよ。 ねぇ、ご飯食べて行ってよ。何か出前を取るわ。」 「ふふっ。そのつもりで来たのよ。私が奢るから美味しいもの食べましょうよ。」 「やったぁ!さ、入ってゆっくりしてね!」 すみれはバタバタと走って行き、私は遠慮なく家に入り込んだ。 お客様に愛されるいいお店になったのね。 一時はどうなるのかと案じていたのだけれど。 久志さんも協力してくれるし、心配することはもうないわね。 「姉さん、元気だった?って聞くまでもなく相変わらず元気そうね。 今日はどうしたの?何か欲しい布地でも?」 「いいえ。あ、これ食べて。 あなたにお礼を言いに来たの。」

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