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受け入れて認める(14)

朱音さんがにこやかに笑う。 「そうなの。順調に進んでるのならいいわ。 肩こりも酷くなったら後が酷いし。」 さぁさぁ、と促されて定位置に座らされた。 今まで彼女達から醸し出されていたトゲのような空気が全く感じられない。 俺を完全に受け入れている、そんな雰囲気がありありとする。 この間から変だったけど、今日はそれ以上に変だ。 それでも普段通りの会話を交わしながら食事を済ませると、後片付けすら許されず、追い立てられるように部屋へ連れて行かれた。 更に翌日も。 「檸檬さん、出来上がったら呼んで頂戴ね。」 「ありがとうございます。」 首を傾げながらもいつもの“儀式”を済ませると、絶対今日中に仕上げるんだ、という決意も新たに、俺は糸を通した。 「…檸檬さん…お昼よ…」 遠慮がちに順子さんが呼びに来てくれた。 「はいっ!ありがとうございます。 今、行きます!」 ふうっ……相当根を詰めてしていたせいか、首が固まっていた。 ぐるぐると肩やら首を回すと、ごきごきと骨の鳴る音がした。 あと少し。もう少し。 満さんと色違いの浴衣が出来上がる。 ねぇ、君ももうすぐ大切な人と会えるよ。 愛おしくなってそっと撫で、急いで順子さんのあとを追った。 昼食後もまた追い立てられて部屋に連れて行かれた。 一体どうしたんだろう。やっぱり変だ。 俺、何か失敗して洗い物すらさせてもらえなくなっちゃったんだろうか。 でも、皆んな『浴衣に専念して』っていうばかりで。以前のような悪意に満ちた態度ではないのは分かる。 とにかく。 集中して仕上げてしまおう。 そしてまた、修行の続きができるように頼んでみよう。 午後からもひと針ひと針思いを込めて、縫い進めていく。 満さん、お揃いだって知ったらどんな顔するのかな。『俺が仕立てたんだよ』って自慢しちゃおうかな。 ふふっ。楽しくて楽しくて嬉しくなってきた。

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