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受け入れて認める(16)

その夜。 和気藹々としたムードに慣れぬまま。 妙に気疲れした俺は、精魂使い果たしてしまったのか、頭も身体もまだふわふわした感じで、それでも全てのことを済ませるとやっと部屋に戻ってきた。 そろそろ満さんのLINEが来る頃かな。 あっ、きたっ! 『泣き言だけど、俺はもう檸檬不足で倒れそうだよ。 頑張ってる檸檬に水を差す形になるかもしれないが…会いたい。 会いたくて堪らない。』 満さん…俺も!俺だって、俺だって! 「満さん、俺も満さんが足りないです! 会いたい、会っていつもみたいに頭を撫でてほしい。 でも、もう少し、もう少しだけ頑張ってみませんか?」 暫くしてスタンプが来た。 泣きながら『がんばる』と叫んでいる犬のスタンプ。 速攻でスタンプが返ってこなかったのは、ひょっとして拗ねてたのかな。 何だか満さんが駄々を捏ねる子供みたいでおかしくなって、ハートを振り撒くウサギのスタンプを返した。 満さん、煮詰っちゃってるのかな。 俺だって会いたいよ。 でも、ここで踏ん張らなきゃ。 一緒に泣き言を言うのは簡単だけど、共倒れになっちゃダメだ。俺がしっかりしないと。 ダンナの尻を叩くのはヨメの役目だ! 俺だって会いたくて辛いけど踏ん張って、皆んなに“ヨメ”として認めてもらわなきゃ。 だから、だからもう少しだけ、頑張ってみる。 この気力がどこまで持つか分からないけれど。 やっと認めてもらいつつあるんだ。中途半端なことはできない。 まだ教えてもらい足りない事は山程残ってるはずだ。 満さん。 世間では俺達の関係は100%受け入れられないかもしれない。 でも、聡子さん達が認めて受け入れようとしてくれている。 だから、俺は出来る限りのことを頑張ってみるよ。 どうしても、どうしても耐えられない時は…… 考えながら、段々と瞼が落ちていった。

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