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お目通り(15)

電気も付けない薄暗い部屋の中で、お互いの唇を求める滑った音が響く。 「…んっ……んむっ、んっ……」 喉奥からくぐもった声が出てしまう。 満さんとのキスなんて何度目だったんだろう… 次第に真っ白になっていく頭で考えている。 キスときたら、次は…… 「み、つるさんっ、まって、ちょっと、まって…」 「檸檬?どうした?」 その頃にはもう、俺のジャケットは脱がされネクタイは緩められ、シャツのボタンは全部外されて肌着は胸元までたくし上げられていた。 ぐい、と満さんの肩を押し、荒い息を整えると 「満さんのご両親もにいるんです。 婚約したとはいえ、俺はまだ金山家の人間ではありません。 それなのに、で、、できませんっ!」 「…檸檬、ここじゃなきゃいいのか?」 「え?」 「俺のマンションならいいのか?」 「ちょっと待って。場所とかそんなのじゃなくって」 「じゃあ何だ?愛する檸檬を抱きたいと思うのはダメなのか? 檸檬がほしい、愛し合いたいと思ったらダメなのか?」 「俺だって!俺だって満さんがほしいっ! でも、事前事後が並ぶのもどうかと思うし……それに、その…綺麗にしてないし」 むっちゅーっ ちゅぱっ 盛大なリップ音付きのキスを俺にお見舞いした満さんは 「荷物纏めろ。マンションに帰る。」 そう言い放つと、乱れた俺の服を直しネクタイをきちんと締め直した。 そして俺の手を引いて客間に戻ると、俺の荷物を纏め始めた。 「満さんっ、ちょっ」 「取り敢えず必要な物だけ。また取りに来るから。」 そして携帯を取り出すと 「聡子さん?本当にお世話になりました。ありがとうございます。 ええ。やっぱりマンションに帰ります。 え?もう? ははっ。あなたには頭が上がりませんよ。 ええ、あちらも寛いでいるでしょうから、明日の朝伝えて下さい。 よろしく。」

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