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重なる思い(5)
俺の視線に気付いた満さんは
「ごめん。檸檬の中に入れると思ったら治らなくって。」
と頭を掻き掻き照れ臭そうに笑った。
思わず本音が口から飛び出した。
「満さんの…男らしくて羨ましい。
それに比べて俺のは貧相に見えて…何か悔しい。」
「え?」
「同じ男なのに。満さん、ズルい。」
何がズルいのか分からないが、完全なる八つ当たりだ。
満さんは「何のことだ?」と言わんばかりに、目を大きく見開いて首を傾げていたが、丸椅子に座ったままくるりと振り向き、俺を抱きしめると
「ひとそれぞれパーツが違うのは当たり前だ。
俺は見た目こんなだけど、檸檬のは滅茶苦茶綺麗だぞ。
ずっとむしゃぶりついていたいくらい。」
そう言いながら、俺自身を人差し指でなぞっていく。
「んっ」
「俺にとっては、コレがかわいくてかわいくてならない。
綺麗なココをどうやって愛でてやろうかと、そんなこと考えてる。」
人差し指一本だけだったのに、いつの間にか握り込まれてゆっくりと擦られ、時々先端を抉られる。
「あっ、んっ」
「檸檬のどこもかしこも何もかもが俺のどストライクなんだ。
悔しいことなんて一つもない。
さ、そろそろベッドに行くか……」
片手で悪戯された。
たったそれだけで腰が抜けそうな甘い痺れが全身を走っている。
力の抜けた俺を抱えると、満さんは俺をベッドに運びそっと横たえた。
俺の上にのし掛かるように跨がり、髪の毛を優しく梳きながらひとり言のように呟く。
「どれだけ抱きたかったか分かるか?
思いを寄せた途端に引き離されて、俺は気が狂いそうだった。
思いを確かめ合って、さあこれから、って時に離れ離れになって……
いや。
檸檬の方が大変だったはずだ。
俺の家の事情とはいえ、本当にすまなかった。」
満さんの眉間に皺が寄っている。
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