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重なる思い(11)
気が付けば………
素っ裸でベッドに寝かされていた。
きっと何処かに放り投げられてる俺の下着とパジャマ。
寝乱れてくしゃくしゃになったシーツ。
部屋に微かに篭る淫猥な匂い。
今朝より重怠い、全身の半端ない疲労感と筋肉痛。
瞼を開けることさえ億劫だ。
指1本すら動かない。
「檸檬、檸檬、檸檬。」
何度も何度もしつこく名前を呼ばれ、仕方なく薄っすらと目を開けた。
心配そうな満さんが俺を覗き込んでいる。
「檸檬、大丈夫か?」
大丈夫なんかじゃない。見たら分かるだろ?
返事をせず黙ってじっと見ていると
「ゴメンナサイ」
と大型犬がうな垂れた。
「檸檬があまりにもかわいらしくて…その、自制が効かず…ごめん。」
あー…あの後やっぱり抱かれたのか…
うーっ…文句言いたいけど、もう、いいや。
とにかく寝かせて。
俺が再び目を閉じると、悲しそうに俺の名を呼ぶ。
「檸檬……檸檬、起きて…」
無理!起きれない!
もういいから寝かせて!
無言の抵抗を決め込んだ。
そのうち諦めたのか静かになり、暫く俺の髪の毛を触っていたようだった。
ふわり
大好きな匂いと温もりに包まれた。
えっ!?
思わず目を開けると、満さんに抱かれていた。
「もう何にもしないから。」
そう言うと、顔中キスで埋められる。
しつこい。
満さん、こんなキャラだったっけ!?
何もしないなんて嘘じゃん。
払い除ける気力も体力も残っていない俺がじっとしていると、それをよいことに大きな手が身体を這い回り始めた。
「…満さん…」
振り絞って掠れた声で呼ぶと、嬉しそうな顔をしている。
何を期待してるんだろう。
残念だけど違うよ。
「もう無理。構わないで。」
「えっ!?」
「本当に無理。静かに寝かせて。」
「うっ…」
絶倫性欲オバケは、ひと言唸ったっきりフリーズして、俺の身体から手を外した。
良かった。やっと眠れる。
隣でぐすぐすと鼻を啜る愛しい男を無視して、俺は夢の中に落ちていった。
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