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重なる思い(13)

聡子さんが詰めてくれてたお重を取り出した。 蓋を開けると、色とりどりの見た目も美味しそうな煮物や煮魚、鰻巻きにチキン南蛮なんかも入っていた。 玉ねぎとしめじの味噌汁だけつくり、赤飯をレンチンした。 キッチンにいい匂いが漂っている。 味見という名の摘み食いをしながら、その美味しさについつい手が伸びて、少し膨れたお腹に満足していると、寝室のドアが空いた。 「檸檬!」 俺を見つけた大型犬が背中から纏わり付いてくる。 「檸檬、起きても大丈夫なのか? こんな朝早くから…もっと寝てればいいのに。 (くんくん)な〜んだ。シャワー浴びちゃったのか?」 「……もう大分回復しましたから。 それにお腹が空いて倒れそうなんです。」 「そうだな。 あぁ…檸檬と一緒に食べれるのか…うん、嬉しいな。(まさ)しく俺達は『新婚さん』だな。ぐふふっ。」 ぐふふっ、って…満さんのネジがぶっ飛んでいるような気がする。イケメン崩壊だ。 キリッとしたいつもの満さんは、今ここにはいない。 それに、背中から抱きついて胸を弄るのは止めてほしい。 たちまちに胸の粒を探り当て、パジャマの上から擦り始めた。 「みっ、満さんっ!止めて下さいっ!」 「何で?何でダメなの?」 「これ以上はダメですっ!さっきもそう言ったのに…暫くお触り禁止ですっ!」 「…檸檬…」 「そんな声出してもダメなものはダメです!」 「れーもーんー」 「俺が動けなくなってもいいんですか!?」 「それはそれで…(ゴニョゴニョ)」 「じゃあ、俺は自分ちに帰ります。」 「えっ!?それはダメだっ! 分かった!いい子にするから…側にいてくれ。 分かったから!」 胸を触っていた両手が下に降りていき腰に絡み付いた。 時折もどかしそうにもぞもぞと動いている。 ん? 何か触り方がイヤラシイ。 どっちにしても纏わり付かれている。 駄々っ子みたいでおかしくなってきた。

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