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証(1)

翌週、本当に本当に久し振りに出社した。 俺の仕事、あるんだろうか。 俺なんかいなくったって、あのデキる黒原さんが1人いれば、仕事は完璧に回るんじゃないか、ってか回ってるんだろう。 うーっ、入社後の初出勤の時みたいにドキドキする。 車中では、満さんにずっと手を握られていて夢見心地だったが、手の温もりが『現実』だと教えてくれていた。 ちらりと盗み見る横顔も格好良くて…俺、この人と結ばれたんだ…なーんて思ったらアンナコトやコンカコトなんかを思い出して、ひとりで心の中で悶えてた。 後で聞いたら、満さんも同じ…いやそれ以上に我慢を強いられていたらしい。 『己の欲と戦うのに朝から必死だったんだ』 と言われて2人で大爆笑したのだった。 どんな顔して黒原さんに会えばいいんだろう。 俺のいない間、仕事もプライベートも丸投げして本当にお世話になったんだ。 満さんも仕事だけじゃなく身の回りの世話までしてもらっていた。 どれだけお礼を言っても足りない。 社長室に入った途端、懐かし過ぎて泣きそうになった。 「おはようございます!」 「おはようございま……西山君っ! お帰りっ!よく……よく頑張ったね!! そして、おめでとうっ!」 黒原さんがハグしてきた。 背中をバシバシと叩かれ、ぎゅっと抱きしめられた。 「黒原さん…ご迷惑をお掛けして本当に申し訳ありませんでした…」 「ううん!よく戻って来てくれたねぇ! 待ってたよ!」 「…俊樹…俺の檸檬から離れろ…」 「うわぁ…魔王降臨……その禍々しいオーラ引っ込めてーっ!」 俺は黒原さんから引っ剥がされて、満さんの腕の中に収まっていた。 それを見る黒原さんの顔は、によによと崩れていて……まともに顔を見ることができなかった。 だって……『事後』が雁首揃えて並んでるんだよ!? ここに3人だけなのをいいことに、満さんは俺を抱きしめて離さない。

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