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証(3)
社長はぶつぶつ文句を言いながらも、赤石部長がノックするまでに全てのデスクワークを終えていた。
流石、仕事はできるひとだ。
「失礼します。」
赤石部長……はぁ…相変わらずのイケメンぶり。顔面偏差値の高い社内でも、トップ5に入るだろうな。
最近何だか艶が増しているような……プライベートも充実してるんだろうな……この人の奥さんってどんな人なんだろう。
「西山君。」
「はっ、はいっ。」
「おめでとう!社長の手綱をしっかりと締めといてね。」
「うえっ!?」
「あ、大丈夫。全部知ってるから。」
ぼふんと真っ赤な顔になった俺を残して、笑いながら肩を叩いて行ってしまった。
知ってる…知ってるって……
「くーろーはーらーさぁーーんっ!」
「どうした?」
「あっ、赤石部長が…『おめでとう』『全部知ってる』って……」
「あぁ、なーんだ。うん、知ってるよ!」
「えっ、何で、どうして」
「彼もそうだから。」
「は?」
「彼の嫁は、人事の若林弘毅。
いやぁ、うちの会社は…くすくすっ、多いねぇ。
営業の1も2も賑やかだし。
上 がそう|だと伝染するのかな。あははっ。
あ、気にしないでね!
書類上のことは赤石部長が操作してくれるから他人にはバレない。
多分その辺の打ち合わせに来たんだよ。
全く、満はせっかちなんだよ。西山君はまだ籍入れてないのにさ。
まぁ、あんな奴だけど末長くよろしくしてやってね。
あ、俺ちょっと用事済ませてくるから、出掛けるしよろしく!」
余りの衝撃にクラクラする。
部長も!?嫁は人事の若林!?営業1も2も…って…誰だ!?
黒原さん以外の人にバレてることや、他にも同性カップルがいることに動揺して、その後は申し訳ないことに上の空で仕事にならなかった。
満さん……もとい社長は黒原さんがいないのをいいことに、俺を思いっ切り抱きしめてから外出した(キスもされた)。
「西山君、西山君、こっちこっち!」
帰ってきた黒原さんに手を引かれ奥の部屋に連れて行かれた。
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