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証(11)

「檸檬。あれは俺達の結び付きの証。 これから先、俺達の意図に関わらずいろんなことが起こるだろう。 意見の食い違いで仲違いすることもあるはずだ。 そんな時に、あの指輪の輝きが今のこの気持ちを思い出させてくれると思う。 俺達2人が同じ物を選んでる、それがもう答えなんだ。 だから、値段だとかそんなことは俺にとってはどうでもいいこと。 それに、分相応な物を選んでるから心配するな。 新藤さんもかなり勉強してくれてるからね。 思ってたよりも随分といい物がお値打ちで手に入ったんだ。 俺は素直に受け取ってくれた方が、ずっと嬉しい。」 「…はい。分かりました…」 「何だ、まだ不満か?」 「…いいえ。ただ……」 「ただ?」 「贅沢だな、って。 俺なんかのためにあんな高価で綺麗な物、んっ」 突然口を塞がれた。 ねろりねろりと口内を蹂躙する舌先が苛立っている。 「んっ、んふ、ん」 聞き分けのない俺を分らせようとしているのか、満さんのキスは濃厚でしつこかった。 「んっ、み、つる、さん、んむっ」 腕を突っ張り首を捻ってやっと離れた。 「ふっ、はあっ、はっ、はぁ…」 「ごめん。檸檬が分かってくれないから。」 むう、と拗ねる満さんがかわいく見えて、思わず吹き出した。 「ずるいです!キスで誤魔化そうとするなんて。」 「だって。俺の思いを込めて」 「分かりました!分かったから、こんな道路でキスは止めて……」 「くっくっ、すまない、つい。 檸檬、本当に分かってくれたの?」 「はい、素直に甘えます。 満さん、ありがとうございます。 俺、絶対大切にします。」 「うん。ありがとう。 檸檬、それと。 『俺なんか』って言うのはもう止めにしよう。 お前は俺を変えてくれた唯一の伴侶なんだ。 あの聡子さんが認めて、俺達の両親も認めてくれてるんだ。 もっと堂々としてればいい。 いいな?」 「…はい。」

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