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証(17)

奥の部屋に案内されて、新藤さん自らコーヒーを出してくれた。 他の店員さんはそれぞれに接客中だったらしい。 「お待たせいたしました。 仕上がり予定日まで待ち切れないんじゃないかと思いまして(笑)、少しですが早目に納品させていただきました。 あ、勿論精魂込めてお作りしてますので、遜色無い出来になっています。ご心配なく。 どうぞご確認下さい。」 差し出されたトレイには、先日2人で選んだ2組の指輪が並んでいた。 少し大きいのは満さんの。その横に寄り添うように置かれているのは、俺の。 「サイズの確認をお願いできますか? 少しでも違和感があればおっしゃって下さいね。」 「はい!ありがとうございます。 檸檬、手出して。」 いつになく少し緊張した満さんの様子に、俺まで更に緊張してくる。 満さんは婚約指輪を摘み上げ、俺に手の平を向けた。言われるがまま左手を差し出すと、そっと掬い取られた。 スッ 左手の薬指に吸い付くように収まった。 俺は嬉しくなって瞬きを繰り返しじっと指輪を見ていたが、満さんに 「ほら、俺にも。」 と急かされて、指輪を受け取ると満さんの指に嵌めた。 「うん、いいね。」 満さんが俺の左手に重ねるように自分の左手を合わせてくる。 「うんうん、いいね。こっちも合わせよう。」 今嵌めたばかりの指輪を抜き取られ、そしてもう一度、同じ動作を繰り返す。 「…あぁ、こっちもぴったりだ。 直す必要はありませんよ。 進藤さん、ありがとうございます! どちらも物凄く馴染んでます。やはりこのデザインで正解だった。な、檸檬?」 「はい!本当に。凄く、凄く綺麗です。 ありがとうございました!」 薬指に輝く『永遠の愛』――新藤さんの教えてくれた意味が胸一杯に広がって、俺は感極まってちょっと涙目になってしまった。

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