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証(18)
新藤さんは俺達の様子を微笑みながら見守ってくれていたようだった。
「ありがとうございます。
お使いになっている間に何か不都合があれば、メンテナンスも充実しておりますので遠慮なく仰って下さい。
おふたりに生涯愛される証になりますように。
ははっ、いつも何だか我が子を嫁に出す気分になるんですよ。
どうぞお幸せに。」
俺達は顔を見合わせて頷くと、丁重にお礼を言って店を後にした。
俺は小さな紙袋をしっかりと膝に抱えて、車に揺られている。
満さんと俺の証…これを見る度に、新藤さんの言葉を思い出すんだろうな。
「檸檬。」
「は、はい。」
「次々と予定を入れて悪いんだが…帰ったら結婚式のことも相談したい。」
「結婚式…ですか?」
「うん。どうだ?」
「うーっ……でも、そんな派手なのはちょっと…でも満さんのお家柄だとしないわけにもいかないし、招待する人って凄い人数なんじゃ……俺はちょっと、その…でも…」
「運転中に、急にこんな話を振って悪かった。
大切なことなのにごめんな。
帰ってから落ち着いて話そう。
檸檬の嫌なことにはならないし、しないから安心して。
檸檬、今夜はハンバーグ作ってくれないか?確か冷蔵庫には材料があったな。」
「はい!ソースはデミグラスと和風とどちらにしますか?」
「そうだな…今夜は和風で!」
「分かりました。檸檬スペシャルでお作りします!」
「それは楽しみだな。」
戸惑いのオーラを撒き散らし、『でも』を連発する俺に、満さんはワザと話題を変え優しく言ってくれた。
少しだけホッとした。
満さんは俺の嫌がることはしない。(アノ時は違うけど)
結婚式か……薄々とは頭に浮かんでいたけれど、具体的な話になってくると、ちょっと…
ん?
これってマリッジブルーとかいうやつでは?
俺ってそんなにヤワだったっけ?
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