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証(20)
えっちに雪崩れ込みそうになるのを必死で回避して、満さんをバスルームに追いやり、俺は今後片付けをしている。
満さんは『愛してるのにっ!』とぶつぶつ文句を言っていたけど。
ちょっとかわいそうだったけど。
俺だって、俺だって、実はそんな気持ちになっていたけど。
こんな状態のままヤりたくないし。
結婚式の話だって中途半端になってるし。
自分の中で色々と言い訳をしていると、満さんが風呂から上がってきた。
腰にバスタオルだけ巻きつけて、何で上半身裸のまんま!?
そんなヤる気満々の空気を出さないでほしい。
毎日は無理だ。俺がもたない。明日も仕事なんだ。
「檸檬、早く風呂に入っておいで♡」
「…満さん…」
「何だ?」
「服、着て下さい。」
「え?」
「結婚式の話だってまだ終わってないし。
明日も仕事だし。」
「そっ、そうだな…分かった…」
塩対応に満さんはくるりと振り向くと、とぼとぼと着替えに行った。
ごめんね、満さん。
求めてくれるのはとっても嬉しいんだけど。
新婚のオヨメサンの気持ちが分かる気がする。
ちょびっとだけ甘えてご機嫌を直さなければ!
俺も急いでバスルームに飛び込んだ。
少し不機嫌な満さんに昆布茶を持って行き、隣にぴったりと擦り付いて座った。
満さんから“おっ!?”とワクワク感が戻ってきた。
単純だ。こんなのでいいんだ。
「あの……結婚式のことなんだけど。」
「派手にはしないよ。
ご挨拶に行った時に、両家で十分話し合ってる。檸檬抜きの話ですまない。
俺の説明不足だったな。
完全に身内のみ…両親、兄弟。それ以外には、俺のところは親族代表として俊樹に来てもらうつもりだ。檸檬のところは、伯父さんに来てもらうそうだ。確か武雄さん、って言ってたな。
だから、心配しないで。
式場も俺たちみたいな同棲カップルを偏見なしで受け入れてくれる所を紹介してもらってるから。」
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