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結婚式(2)
金山家って何なんだ!?
今更だけど、俺とんでもない家に嫁いでしまったんじゃないか!?
そんなこと、修行という名の拉致された時に分かってるじゃん!
満さんは相変わらずの平常運転で。
『何か問題ある?』って顔してる。
うーん。
満さんにとっては、それが普通なのか……
「西山…じゃなかった、金山君、浮かない顔してどうしたの?」
そう。俺達は挙式の前に籍を入れた。
名実共に『金の檸檬』になったのだ。
「黒原さん…俺、お上 と平民の差にギャップを感じて言葉も出ません……
俺、金山の姓を名乗ってもいいのか、滅茶苦茶不安ですっ!」
「あー……考えない方がいいよ。“そんなもん”だから。
満の言う通りにしておけばいい。
でもさ、旧家っていっても、しきたりとか伝統とか、守って継承していかなければならないものがあるだけで、一般のお家と変わらないからね。」
「…“そんなもん”なんですか?」
「“そんなもん”なんだよ。」
「おーい、何話してるんだ?」
「社長!お帰りなさい!」「満、早いじゃないか!」
「はい、これお土産。匂いに釣られて買っちゃったよ。檸檬、お茶入れてくれるか?」
「はい!うわっ、たこ焼き!?ソースの匂いが凄い!美味しそう!」
くんくんと鼻を啜るとソースの香ばしい匂いで一杯になり、唾液がじゅわりと出てきた。
くぅっ、堪らん!
3人で“いただきます”と手を合わせて、はふはふ言いながら頬張った。
うん、美味しい!満足満足。
満さんは黒原さんに
「俊樹、今度みんなでタコパしようぜ?
予定聞いておけよ。」
なんて迫って嫌がられていた。
みんな…みんな…って、満さんと、黒原さんと俺の3人?
誰に予定聞くんだ?
まさか、黒原さんの…恋人!?
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