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結婚式(4)

黒原さんがそっと席を外した。 「俺が言うより檸檬から直接伝えた方がいいかもしれないな…… 聡子さん達が表に出ることは前例がないんだけれど…… 檸檬、一緒に行って頼んでこよう。 親父もお袋も、檸檬にはメロメロだから。 お前の頼みなら、きっと聞いてくれるはずだ。 親父から聡子さんに伝えれば、渋々でも承知するだろう。 聡子さんは親父の言うことには絶対だからな。 おーい、俊樹!悪いが手筈を整えてくれないか?」 「もう連絡済みですよ。 明日の夜でも本家に顔を出すように、とのお言葉です。」 「流石、優秀な秘書はやることが違うな。 ありがとう!」 「煽てても何にも出ないぞ。 その代わりに有休がほしい。」 「…ちゃっかりしてやがる。いつだ?」 「来週の月曜日。」 「急だな…分かった。申請書出しといてくれ。 檸檬、俊樹がいない日はいつもより頑張ってもらうぞ。 ふふっ、イチャイチャも思う存分できるな…」 「しっ、仕事は頑張りますけど、プライベートは別ですっ! イチャイチャは無しですっ!」 いつもなら、そんなやり取りにツッコミを入れるはずの黒原さんは俺たちの話を聞いていなかったのか、小さくガッツポーズをしてにやにやしていた。 ひょっとして恋人とのお泊まりデートなのか? 俺の視線に気付いた彼は、いつものクールな顔付きに戻った。 お義父さん、俺の我儘なお願いを聞いて下さるだろうか。 前例がないことを俺はしようとしている。 それは許されることなんだろうか。 いくら無茶なことだとはいえ、やっぱりお世話になった皆んなに出席してほしい。 あの本家で学んだ日々は、俺にとって大切なもの。 それを支えてくれたのは聡子さん達だ。 何とか許してもらおう。 そうだ!お義母さんの力も借りて……ブラック檸檬参上!

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