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結婚式(5)

(かしこま)って、本家のお義父さんとお義母さんの前に正座する俺達。 「大体のことは黒原から聞いてるよ。 でもなぁ、聡子さんが何て言うか…あの人、結構頑固者だからね。 『ケジメはキチンと!』 って言われそうだけど。 まぁ、檸檬君のお願いなら聞いてあげなきゃなぁ。」 「でも、お義父さん!俺はどうしても」 「うん、分かった分かった。 おーい、聡子さーん!ちょっと来てくれー!」 「はい、お呼びでしょうか。」 「あのさ、満達の結婚式に聡子さん達も出席してほしいんだ。 もちろん、すみれさんも。 その日はここはもう施錠して留守にしていいから、時間空けてくれないか?」 「お言葉ですが、私達はあくまでもここにお仕えする立場の者。 ケジメはキチンと。それはできかねます。」 言ったよ、『ケジメはキチンと』。お義父さん、流石。 「当主命令でも?」 おっ、満さん、グッジョブ! 「満様、それは命令とは申しませんが。」 「うっ…式だけでも参列してほしい。 檸檬たってのお願いなんだ。」 「聡子さん、お願いします! 俺、ここでの修行で本当にいろんなことがあったけど、そのお陰でこうやって満さんとご縁を結ぶことができたんです。 ありがとうと、これからもお願いしますの意味も込めて、俺達の見届け役をお願いしたいんです。 聡子さん、どうかお願いしますっ!」 俺は座布団から飛び降りると、頭を下げた。 満さんもそっと座布団を外すと、同じように頭を下げてくれた。 「満様っ、檸檬様っ! そんな、私の様な者に頭なんか軽々しく下げてはいけません!」 「じゃあOKしてくれるの?」 「それは……」 「じゃあ止めない。」 満さん…カッコいいよ…ん?カッコいいというより、策士だな。 聡子さんから戸惑いの空気が流れてくる。 「聡子さん、お祝いに上も下もないんだよ。 満達がこうまでしてお願いしてるんだ。 私からもお願いするよ。」

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