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結婚式(6)
お義父さんも即座に座布団を外すと頭を下げた。
当然だと言わんばかりにお義母さんまで。
吃驚慌てふためいたのは聡子さんだ。
「ご、御隠居様!?大奥様まで!?
お止め下さいませっ!
あら、まぁ、どうしたら」
こんなに動揺する聡子さんは初めて見た。
「お止め下さいませ」「どうしましょう」を繰り返し、おろおろとしている。
遂に
「分かりました分かりましたっ!承知いたしましたっ!
僭越ながら、末席にお加え下さいませ!」
やったぁーっ!!!
俺達はハイタッチをして(勿論お義父さん達を巻き込んで)、ガックリと肩を落とす聡子さんにお礼を言った。
ふふん。ブラック檸檬の勝利!
ドヤった顔の俺を見てお義母さんがひと言。
「満…一生尻に敷かれてなさい。
絶対に幸せになれるわよ。」
するとお義父さんが
「うちは歴代そうだからな。満、踏ん張れよ。」
お義母さんがウインクした。
歴代ってことは…そうか、お義父さんも……
「言われなくてもそうします。
何たって俺の檸檬は『金の檸檬』ですから。逆らうなんて選択肢はハナからありませんよ。
じゃあ、聡子さん、そういうことで。
明日にでも皆さんに招待状をお送りしますので、よろしくお願いします。」
笑いを堪えながら満さんが言った。
「…はい、承知いたしました…」
聡子さん、心なし声が小さいよ。
「聡子さん…『立場をわきまえて』とか『しきたりが』とかは関係なく、ただ俺達の門出を見守ってほしいんだ。
無理言ってごめんなさい。
でも来て下さったら嬉しいです!
お願いしますっ!」
「檸檬様…はい、喜んで皆んなでお祝いに参ります。
こちらこそよろしくお願いいたします。」
よかった。もういつものクールな聡子さんだ。
俺は満さんと顔を見合わせると微笑んだ。
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