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結婚式(9)
荘厳なチャペルのドアが開いて、満さんの腕に手を組んで進む。
俺達を祝福する拍手が鳴り響く中、ゆっくりと2人でバージンロードを歩いて行く。
本当なら満さんが待つ祭壇まで、父さんが俺を連れて行く筈だったんだけど、『どうしても嫌だ』と駄々を捏ねたせいで、急遽俺達2人での登場となったのだった。
父さんは、母さんに散々叱られ宥められていたが、どうやっても首を縦に振らなかった。
「お2人での登場もアリですよ。大丈夫です。
お父様、お席でどうぞお2人をお迎え下さいね。」
遥さんに促されて案内されて行くその後ろ姿が切なくて。
きっと父さんの最後の足掻きってやつなのか。
母さんが側に来て頭を下げた。
「檸檬、ごめんね。
あんたが『嫁に行っちゃう』って拗ねてんのよ。
やぁねぇ、子供みたいに駄々捏ねて。
満さん、ごめんなさいね。
せっかくのお式を台無しにしちゃって。」
「いいえ。俺はこうやって檸檬と一緒に歩いていけるから満足ですよ。
な、檸檬?」
「…満さん、ごめんなさい…」
「謝ることはないよ。こういうのもいいじゃないか。
遥さんもアリです、って言ってたしな。
さ、腕組んで。」
とまぁ、こんなハプニングがあったものの、式は無事終了した。
勿論、誓いのキスも…した…恥ずかしぃっ。
「満様、檸檬様。本日は誠におめでとうございます。
私どもまで出席させていただき恐縮です。
どうぞ何時迄もお幸せに。」
聡子さん達も出席してくれた!
渋る聡子さん達に記念撮影にも参加してもらって、そのまま披露宴の代わりの食事会に雪崩れ込んで、俺にとって大満足な結婚式が終了した。
ゲストを全てお見送りし、俺達はようやく安堵の吐息を漏らした。
身内だけとはいえ、やっぱり慣れないことは緊張するもんだ。
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