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内緒(11)
ちゃんと目覚ましで起きて、腰を摩りながらも、ちゃんとキッチンに立っている。
完全に抱き潰されなくて良かった。とはいえ、喉がビミョーに痛い。
今日は静かに黙っていよう。黒原さんには揶揄われるのが目に見えているんだけど。
今日のお弁当のおかずは、夕べ作っておいた里芋の煮っ転がしと、卵焼き、唐揚げに、ピーマンとジャコの炒めたやつ。それに茹でたインゲンとミニトマト。
白ごはんにふりかけを掛けて、真ん中にどどんとでっかい梅干しを乗せた。
ふふん。どんなもんだい。
檸檬様特製の愛情弁当だぜ!
「れーもーん、おはよう…うー、頭痛い…」
「満さん、おはようございます!
あれ?二日酔い?」
「うーん、そんな感じ…それにおでこも痛い…何でだろう…」
俺はハタと気付いてしまった。
おでこのそれは…俺のデコピンだ…そんなに強くした覚えはないのに…しまった…黙っておこう。
「酔って何処かで打つけたんじゃないの?
さ、ひと口でもいいから食べて!」
「ん…味噌汁飲む…」
「はいはい。」
デコピンの後ろめたさで甲斐甲斐しく世話を焼いてあげていると、満さんは少し復活したようだった。
「お、弁当美味そう!昼休みが楽しみだな。
今日は一緒に食べれるぞ。」
「黒原さんに冷やかされそう…」
「ふふっ、見せつけてやれ。これで刺激を受けて、アイツも動けばいいんだけど…」
「え?黒原さん両思いの恋人がいるんじゃないんですか?」
「うーん…両片思い…と言った方が分かりやすいのか…中々思うようにはいかないみたいだな。
早く何とかすりゃあいいのに。
まぁ頃合いを見て、けしかけるとするか。」
「…そうなんだ…上手くいくといいですね。」
「あぁ。アイツには世話になりっぱなしだから、幸せになってもらいたいね。
俺が檸檬と結婚できたのもアイツのお陰もあるから。」
満さんはとても優しい目をして呟いた。
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