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内緒(13)
満さんが出掛けたのをチャンスとばかりに、俺は黒原さんに相談を持ち掛けた。
「……という訳でですね、俺暫く退社後は創作活動に専念したいんですよ。
満さんは俺と一緒に帰るのを絶対に譲らないし、サプライズにしたいので、バレたくないんです。
一体どうしたら…黒原さんのお知恵を拝借したくて…」
「そうなんだ。手作りのプレゼントか…やるな。
間を置いて1・2日くらいなら俺が檸檬君を送って行くのはいいけれど、毎日となるといくら鈍い満でも流石に『おかしい』って勘づくからね。
うーん……」
黒原さんは暫く腕組みをして考えていたが、突然大声を出した。
「そうだ!」
びくっ
「檸檬君、満のいない日中、空いた時間に抜けて作りに行って、その分1時間程残業できる?
日によって抜ける時間は違うけどさ。
行けない日もあると思うんだけど。
どうせ今から満は忙しくなるから残業確定だしさ。
夕方、満を待ってる間にこっそりと行ってもいいんだけど、君がいないと何かとマズいでしょ。
幸い、うちの会社からそのジュエリーショップ近いよね?
うんうん、それがいい。そうしよう!」
「黒原さん…いいんですか!?」
「ふっふっふっ。我ながらいい時間の使い方だと思うけど?
時々なら俺と“晩御飯食べに出掛ける”ってことにして退社後に一緒に行ってもいいし。
…俺も見てみたいしね。」
「黒原さん…天使の羽根と後光が差して見えます…本当にいいんですか!?
ありがとうございますっ!!」
「いやいや、どう致しまして。
あの満のデレる顔が見られると思ったら…くっくっくっ…
そうと決まったら、満のスケジュールの組み直しをするよ!
できるだけ社長室 にいない時間を作らなきゃ!」
「はいっ!」
結果的に満さんを馬車馬のように働かせる方向になってしまった、かも………
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