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内緒(17)

俺は、気分アゲアゲで最高にハッピーなお花畑脳でドアを開けた。 「たっだいま戻り……え?」 目の前に仁王立ちする満さんと、俯く黒原さんが目に飛び込んできた。 どうしたんだ!? 俺、何かしでかしたか!? 満さん、何怒りのオーラ全開になってんの!? ドアノブを押さえたまま、俺は部屋に入れなくて突っ立っていた。 ゆっくりと俺の方を見た満さんが言った。 「、こっちに来て。」 『金山君』!?『檸檬』じゃなくて名字で呼んだ!? なんか物凄く嫌な予感がする。 背中に、じわ、と嫌な汗が滲んできた。 「はっ、はいっ。」 言われた通りに、黒原さんの隣に並んだ。 プレゼントの入った紙袋は、そっと後ろ手に隠した。 「2人ともそこ座って。」 ソファーを指差され、チラリと黒原さんを見た。 軽く頷いた黒原さんとソファーに座る。 「この間から変だと思ってたんだけど。 俺に隠れてナニこそこそやってるの? 今も、会社抜け出してどこに行ってたの? で、挙げ句の果ての2日間の有給休暇。 これ、ナニ?」 うげっ、バレてた。 知ってて黙ってたんだ。俺達、泳がされてた? 答えようがなくて、黙っていると 「そう。言いたくないのか。 じゃあ、これは却下。休みは認めない。」 「え…あの」 口を開き掛けた俺に満さんはひと言。 「却下。」 そして席を立ち2、3歩行きかけて振り向くと 「お前がそんな態度を取るなら、俺もそうする。 何も相談しないし伝えない。」 そう言い捨てて社長室に入って行った。 ガチャッ 内鍵まで掛けられた! 黒原さんが気の毒そうに 「急に相手の予定変更で帰って来ちゃって…檸檬君がいないことに腹を立てちゃったんだよ。 俺が暴露するのも変だろ? 誤魔化してたんだけど、アイツ君に関してはアンテナが半端ないからね。 あの調子じゃあ、自分の誕生日を忘れてるよ。 檸檬君、もうサプライズは無効かもね。 明日もお休みあげたいんだけど、満があんなんだから…」

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