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内緒(20)

「イカれちゃうまで乗り潰したんですか? うわぁ…そこまで乗ったら車も満足ですよね… これ、確か北欧ブランドですよね? 内装もこだわりが感じられます。メッチャカッコいい!特注ですか?」 「うん。シックでいいだろ? でも、金掛け過ぎだ、って怒られちゃった。」 「あー、彼女さんですか?そりゃあ怒られますよ。 ひょっとして…結婚、目前ですか?」 「檸檬君、今日は突っ込むねぇ。悪いけど彼女じゃないんだよ。 ま、俺のことは置いといて…うちのあり合わせの物で作るけどいい?」 「勿論です!黒原さんの手料理、楽しみです!」 「そんな大したもんじゃないけどね。 ま、ゆっくりしてよ。 どうせ、不貞腐れた満ちゃんはすこーしだけ遅く帰ってくるだけだよ。」 「はい!」 見慣れた景色を快適に進む。 「あの…俺、助手席に座って良かったんですか?」 「ん?そんなの気にしなくっていいから! さっきから檸檬君…満に何か聞いた?」 ドキッ 「えっ、いいえ! 黒原さんなら絶対に素敵なお相手がいると思ってたので…違うんですか?」 「うーん……ビミョー……」 「ビミョー!?何で?どうして? 付き合ってるんじゃないんですか!? 黒原さんみたいなひとを選ばないなんておかしいですよ!」 「檸檬君…その言葉、泣ける…ありがと…」 「お世辞じゃないですからねっ! 黒原さん、今日は聞かせてもらいますよっ!」 「きゃあーっ、檸檬君が怖ぁーいっ!」 あははっ ふざけながらマンションに雪崩れ込んだ。 エレベーターは、俺達の部屋の1つ下の階で停まった。 「本当にここなんだ…」 「散らかってるけどどーぞ!」 「お邪魔しまーす! うわっ、綺麗!黒原さんやっぱりマメなんですね! 部屋、滅茶苦茶綺麗じゃないですか! オッシャレー! 間取り、うちと一緒ですか?見ていいですか?」 「ははっ、いいよ。ご自由に。好きに見ていいよ。見られて困るもんもないし。 俺は晩飯の準備するねー。」

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