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内緒(21)

お言葉に甘えて、そっとあちこち無遠慮に見て回る。 好きなとこ見てもいい、って言ってたよね… 遠慮しつつも興味津々、覗いてみる。 うちと同じ間取りだ。 そりゃそうか、階は違えど真下だもんね。 一人暮らしには広過ぎるだろうけれど、居心地が良いというのはすぐに分かった。 几帳面な黒原さんのこと。掃除もよく行き届いて無駄な物がない。 そうかといって物がないのではなく、必要な物が必要な場所にある、シンプルイズベストのお手本のような部屋だった。 黒原さん、車といい部屋の感じといい、北欧系が好みなんだろうか。 あとはこの部屋だけ… 半分開かれたドア。 ここは…きっと寝室だ。見てもいいのかな… 遠慮より好奇心が勝った。 ドアの隙間から覗き込んだ。 開かれたカーテンは濃いブルー。 それに合わせるようにベッドカバーも同じ色で…これはうちと同じ…キングサイズ!?ひとりで寝るには…大き過ぎる…やっぱり彼女さんと…うふっ。 その脇にヴィンテージっぽいオープンキャビネットが置いてあった。 何となくそれ以上その場に留まるのは憚られて、すぐに立ち去った。 何だか見てはいけない物を見てしまった気がして、ドキドキする。 キッチンからいい匂いがしてきた。 「探索終了した?」 「はい!遠慮なく拝見しました! 黒原さん、やっぱりマメですね。 俺、見習わなくっちゃ。」 「いやぁ、俺はテキトーだよ。 あ、そっちの皿出してくれる?そうそう、それ。3枚ね。」 「3枚?」 「きっと満が来る時間だよ。見ててごらん。」 黒原さんは笑いながら、サラダやパスタを綺麗に盛り付けていった。 その5分後―― ピンポーーーン 「あははっ、ほらね。はーい!」 インターホンに眉毛が八の字の満さんが写っていた。 1階じゃなくて部屋直のピンポン…

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