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内緒(25)
はぁ…全く世話の焼ける…
アレでも一応『代表取締役社長』ってご立派な肩書きの、泣く子も黙る金山家の当主なんだけど。
俺の前では、ちょっとヘタレで甘えん坊。
そのギャップに笑っちゃうこともあるんだけど。
そんな秘密も俺だけが知ってる内緒の話。
さーて…明日は何を作ったら喜んでくれるんだろう。
この間からレシピを考えてはいるものの、これ、といったものが思いつかなかった。
満さんは何でも『美味しい、美味しい!』と言って食べてくれるから…
…やっぱり本人に直接聞くしかないか…
俺達にサプライズは向いてない、ということが今回のことで身に染みてよーーく分かったし。
よし!風呂から出たら聞いてみよう!
「…檸檬…上がったよ…」
心なしかしょぼくれた声がした。
ははっ。まだ凹んでるのか。
「満さん、明日何食べたいですか?
俺、下手くそだけど一生懸命作りますから、何でもリクエストにお答えしますっ!」
「ん…そうだな…1番食べたいのは、檸檬!」
「…それは…えーっと…応相談で…ゴニョゴニョ」
「ははっ。マジ!?じゃあ後で相談しよう。
そうだな…檸檬が作るものは何でも美味いからな。
俺はいつも美味いもの食べさせてもらってるから、何でもいいんだけど。」
「その『何でも』っていうのが1番困るんですっ!
ピンポイントで『コレ』って言ってもらわないと…」
「そう?…そうだな…手巻き寿司!なんてどう?
檸檬に巻いてもらって…『あーん♡』なーんて、えへへっ」
「…満さん、良からぬ妄想は止めて下さいね…
ま、分かりました。」
良かった、決まった。
『あーん』は別として…でもまぁ、誕生日だから、してあげてもいいか。
だって満さん、嬉しそうなんだもん。
「じゃあ、俺もお風呂入ってきます!」
俺を抱きしめようとした満さんが肩透かしを食ってフリーズしたのを横目に、俺はバスルームへ走って行ったのだった。
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