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誕生日(2)
俊樹の前に威嚇するように、ずいっと立ちはだかり問い詰める。
「何隠してるんだ?
何俺に言えないことやってるんだ?」
「何も隠してませんよ。
そんなに束縛すると、檸檬君窒息しちゃいますよ。
少し冷静になりましょう。」
「何っ!?」
と、そこへ軽やかに弾むような声が。
「たっだいま戻り……え?」
と言ったっきり、檸檬がドアノブを持ったままフリーズしている。
ゆっくりと檸檬を見て言った。
「金山君、こっちに来て。」
腹の虫が治まらず、ワザと名字で呼んだ。
「はっ、はいっ。」
檸檬は飛んで来ると、俊樹の隣に並んだ。
ぷるぷる怯えるウサギみたいで、かわいい。萌える。
「2人ともそこ座って。」
ソファーを指差し、座らせる。
「この間から変だと思ってたんだけど。
俺に隠れてナニこそこそやってるの?
今も、会社抜け出してどこに行ってたの?
で、挙げ句の果ての2日間の有給休暇。
これ、ナニ?」
檸檬は身を縮こまらせて黙っている。
うーん、かわい過ぎて抱きしめたい。
「そう。言いたくないのか。
じゃあ、これは却下。休みは認めない。」
「え…あの」
「却下。」
そして席を立ち2、3歩行きかけて振り向くと
「お前がそんな態度を取るなら、俺もそうする。
何も相談しないし伝えない。」
そう言い捨てて社長室に入り、内鍵も掛けた。
かわいいけど腹が立つ。何だあれ。
何処に行って何をしてたのか、言えないってどういうことだ!?
俺はお前の伴侶じゃないのか?
何で隠し事されなきゃならんのだ?
俺達は何でも言い合える夫夫じゃないのか!?
「社長、お話がありますっ!」
間を置かず、檸檬が何度もドアをノックして呼んでいるけれど、完全無視。
俺は傷付いてるんだ。
檸檬を無視して内線を掛けた。
「はい黒原です。」
「執務に集中するから邪魔しないで。
遅くなるから、金山は黒原に送ってもらってくれ。」
ブチッ
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