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誕生日(4)

早く帰らなくちゃ。 早く檸檬を抱きしめて『ごめんね』を沢山伝えて、抜け出してた理由をちゃんと聞いてやらなければ。 檸檬、本当にごめん。 八つ当たりして嫌な態度取って無視してごめん。 慌ててパソコンの電源を切って、身の回りの片付けを済ませ、鞄に携帯やファイルを突っ込むと、鍵を掛けてダッシュした。 こんな時に限って中々来ないエレベーター。 イライラしながら階数表示を眺めていた。 やっと来たエレベーターに乗り込むと、ワザとのように各階停車。 「あっ、社長!お疲れ様です!」 「お疲れ様。いつもありがとう。」 心の中は焦っているのに、にっこりと営業スマイルを返して『いい社長』を演じる。 そんなことを数度繰り返し…やっと1階へ。 シートベルトを締める時間さえ惜しくて、アクセルを吹かして駐車場を出たはいいものの、ここでまたラッシュに引っ掛かる。 何でだ!? どうして今日に限ってこんなに車が多いんだ!? ノロノロ運転が続いてると思ったら今度は全く動かなくなった。 今度は何だ!? 間もなく、パトカーのサイレンの音が聞こえ、恐らく事故だろうと思っていたら救急車も通り過ぎて行った。 焦りはMAXだが、気を付けて運転せねば。 ラッシュどころか前方で起こった事故にも巻き込まれてかなり時間をロスした。 誰か俺と檸檬を引き裂こうとしてるのか!? 許せん! いつもより倍の時間をかけて辿り着いたマンションのインターホンを押す。 応答がない。 おかしいぞ。俺より先に帰ってるはずだが。 そうか、俊樹の家か。 オートロックを解除して、エレベーターに乗り込むと俊樹の部屋の階数ボタンを押した。 檸檬に会ったらまず謝罪して… 抜け出してた訳を聞いて、それから… 言葉をあれこれ考えているうちに着いてしまった。

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