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誕生日(8)

何だよ、それ…檸檬、かわい過ぎだろ? 「檸檬……」 胸の中にそっと閉じ込めて抱きしめる。 檸檬はもう静かな寝息を立てている。 「檸檬…あれ?寝ちゃったのか?」 あぁ、俺の檸檬はマジ天使だ! ちゅ、って。ちゅ、ってキスしてくれた! 俺に微笑んでくれた! この思いがけないご褒美に、愚息が反応し始めた。 何て節操のない。我ながら単純過ぎる。 ダメだ、ダメだ。 これ以上育ったら、ヤりたくなるだろ!? 頼む、鎮まれ、鎮まれぇ!檸檬に嫌われたらどーするんだ!? 楽しい誕生日が地獄の誕生日になるぞ!? 『今日はダメ』だと言われただろうが! ごくっ、と唾を飲み込んで…上半身は密着したまま少し腰を引いて、檸檬から離れてみた。 ううっ…生殺しだぁ。 スリスリしたいし、アンナコトやコンナコトを…ああ、妄想爆発してるよ。 ふふっ、明日の夜はどうやって愛し合おう♡ いかん、いかん、ソレ考えたらまた反応するじゃないかっ! 俺の葛藤を知ってか知らずか、目の前の天使は安らかな寝息を立てている。 髪の毛に鼻を当てて、くんくんと匂いを嗅ぐ。 見つかったらまた叱られるかも。でも止められない、止まらない。 仕事の段取りは俊樹が上手いことやるはずだし、予定外のものは全て却下して、定刻10分前にはデスクの上もみんな片付けて、ダッシュで帰るんだ! 確か俊樹が、ややこしい案件は来週に回したぞ、と言ってたから問題はないはず。 俊樹よ、俺はお前みたいな優秀な部下を持って幸せだ! お前にも早く春が来るといいな。 部下で目付け役で幼馴染で。 誰よりも近しいお前が、喜べない関係を続けているらしいことは知ってるよ。 早くケリ付けて幸せになれ! 心の中でエールを送り、俺は諦めて檸檬を抱え直すと、静かに目を閉じた。

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