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誕生日(12)
落ち込んでばかりいられない。
挽回しなければ!
プレゼントはもう渡しちゃったから、晩ご飯!
リクエストされた手巻き寿司…具材も盛り沢山に美味しく作って一杯食べてもらおう…もう少ししたら買い物に出かけよう。
あと…満さんが喜びそうなことって…
色々考えたけど、どうしても最終的に『その』考えに行き着いてしまう。
アレに尽きる…かな…やっぱり。
そうだよね、嫌な思いさせた分、喜んでほしいよね。
ネットじゃ間に合わない。
ショップに買いに行くのも気恥ずかしい。
どれを選んでいいのかも分からない。
どうしよう。
あ…遥さん!
恥を忍んで遥さんに聞いてみよう。
きっとストックされてる物があるはずだけど。
連絡するにもまだ早い時間帯だ。
平日だし10時頃ならいいかな。
よし、それまでに部屋を片付けてベッドメイクもやり直して。
さあ、檸檬、頑張るよ!
俺は自分に気合を入れると、部屋をピカピカに磨き始めた。
待ち兼ねた10時。
遥さんにLINEを送る。文章も簡潔に。でも丁寧に思いを伝える。
「…送信、っと…」
……あれ?もう返事が来た!
え!?
『…お手数でなければぜひお越しになって、お好きなものをお選び下さいね…』
だって!
やった!すぐ、すぐ行きまーす!
俺は慌てて身支度を整えると、思い出深い式場へと足を運んだ。
「……という訳で…満さんが喜ぶことって、これしか思いつかなくて…」
「ふふっ、そうでしたか。私でお役に立てることなら喜んで。」
優しい微笑みの遥さんは俺の精神安定剤みたいだ。
不安な気持ちもすぐに吹っ飛んだ。
そして、テーブルに置かれたボックスには、綺麗にビニールに包まれた大量のアレが…圧巻!
「うわぁ…凄い……」
「檸檬さん、こういうのもあるんですよ。
これもなかなかオススメです。」
そう言って差し出されたのは、真ん中から左右に割れるレースのキャミソールだった。
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